研究実績の概要 |
Ti0.91O2、Nb3O8、TiNbO5、MnO2、Mn1-xCoxO2、Ca2Nb3O10ナノシートより厚さ22-31μm、直径18mmのナノシート自立膜を作製し、膜構造およびプロトン伝導度を評価した。反射XRD(シート層間回折)・透過XRD(シート面内回折)、および膜断面FE-SEM像より、自立膜中のナノシートが積層配向している様子を確認した。プロトン伝導性評価については、自立膜断面に垂直および並行の2方向に対して評価した。垂直方向におけるプロトン伝導度(括弧内は90℃、RH100%におけるlog10σの値、以下同様)の序列として、Ti0.91O2(-5.98)<Nb3O8(-5.79)<TiNbO5(-5.77)<Mn0.75Co0.25O2(-5.75)<MnO2(-4.47)<Ca2Nb3O10(-4.01)が得られた。MnO2やMn0.75Co0.25O2ナノシートに関しては、層状結晶より剥離する際にシート面内に孔を形成するため、膜断面方向のプロトンチャンネルとなることを期待したものの、孔構造のないCa2Nb3O10の方が高い値となった。一方、並行方向のプロトン伝導度の序列は、Mn0.75Co0.25O2(-3.75)<Ti0.91O2(-2.98)<Ca2Nb3O10(-2.28)<TiNbO5(-2.03)<Nb3O8(-1.20)となった。加えてCa2Nb3O10に関し110, 120, 130℃の値を調べたところ、それぞれ-3.01, -3.35, -3.52であった。シート種により値に違いはあるものの、総じてシートに対し並行方向の方が垂直方向よりも100-1000倍程度高い値をとることが明らかとなり、今後の研究においてはナノシートの積層方向を制御することでより伝導度の高い自立膜を設計可能であることが示唆された。
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