研究課題/領域番号 |
22K14775
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 南 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50783643)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 固体電解質 / 高分子電解質 / 二次電池 / リチウムイオン伝導 / 多孔質有機構造体 |
研究実績の概要 |
高いイオン伝導度及びリチウム輸率を示す、有機固体電解質を開発を目指した。本研究では、イミダゾールリチウム塩部位を有する多孔質高分子を合成・評価し、固体電解質性能への細孔サイズやリチウム濃度の影響を調査することを目的とした。 本年度は、ホウ素化ベンゾイミダゾールポリマーのリチウム塩を合成した。インピーダンス測定など電気化学的測定を行い、その固体電解質としての性能評価を行なった。乾燥状態では低伝導性であったものの、イオン液体を添加した擬固体状態では、有機正極と組み合わせた場合、液系セルに比べ高い放電容量を引き出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画通り、benzoimidazole linked polymer(BILP)を合成し、その固体電解質としての特性評価を行なった。イオン液体を添加することにより、イオン伝導度は10-4 S/cmまで向上した。この擬固体電解質、有機活物質QTTFQを組み合わせたセルは、電解質を溶解させたイオン液体のみを電解液として利用した場合と比較して、高い容量を引き出すことができることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の結果をもとに、合成方法の検討も行いつつ、化合物の合成を進める。当初の計画では、本研究期間内でアニオン部位の種類の検討まで行うことは難しいと考えイミダゾール部位を有する材料に限定していたが、BILPのみに限らずその他のアニオン部位を有する材料の合成も行い、その性能の比較も併せて進める。令和4年度に合成したBILPはアモルファスだったことが、低イオン伝導となった一因と考えられることから、合成方法についても検討し、結晶性の改善を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末開催予定の学会に参加するため旅費を計上していたが、正常に開催されなかったため使用し なかった。次年度使用額は化合物の合成のための溶媒、試薬の購入や解析装置の使用料のために使用する。
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