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2023 年度 実績報告書

システインパースルフィド含有タンパク質の化学合成と生理的意義の探求

研究課題

研究課題/領域番号 22K14784
研究機関大阪大学

研究代表者

武居 俊樹  大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (00844771)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードフォールディング / システインパースルフィド / ペプチド合成 / タンパク質合成 / ペプチド / タンパク質 / 化学合成
研究実績の概要

本研究は、システインパースルフィド (Cys-SSH) を有するペプチド (タンパク質) の物性を仔細に調査し、タンパク質のフォールディングに対する影響を検証することで、Cys-SSHの新たな生理的意義を探求することを目的としている。
本研究の目的を達成するため、まずは化学合成の手法を駆使して均一なCys-SSHを有するペプチドの調製法の開発に着手した。その結果、ペプチド配列中のCysにトリフェニルメタンチオールをSS結合によって導入することで、単純な酸処理のみによりCys-SSH含有ペプチドを調製することに成功した。しかし、パースルフィドは酸性条件下ですら極めて不安定であり、分解してチオールを生じるほか、対応するホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成することが明らかとなった。安定性の向上を図るため、種々の有機溶媒や糖類の添加を試みたが、安定に取り扱うことが困難であった。また、ニトロベンジルおよびクマリン骨格を有する光分解性保護基を用いた調製法も試みたが、光照射時にパースルフィドの分解が生じることが明らかとなった。
上記の課題を克服し、フォールディングに対する影響を検証するため、グルタチオンとのトリスルフィド結合を有するペプチドをパースルフィド等価体として合成し、フォールディングを試みた。その結果、トリスルフィド結合を有するペプチドは、通常のチオールのペプチドと比較してフォールディング反応が加速することが明らかとなった。小胞体内は酸化的環境であるため、生合成されたCys-SSH含有タンパク質は小胞体内の酸化型グルタチオンと反応してトリスルフィド結合を形成し、フォールディング速度を潜在的に加速させる可能性がある。本成果は、Cys-SSHがタンパク質のフォールディングに影響を与える可能性を示した重要な知見であり、今後の基礎研究の充実に資するものと考えている。

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公開日: 2024-12-25  

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