研究課題
本研究では、ヒト・マウストランスフェリン受容体(TfR)とインスリン受容体(IR)単体および内在性リガンドとの複合体の複数の標的分子を組合せ、結合部位を「マウス/ヒト共通部位かつ非リガンド結合部位」に限定化したマルチプレックスSELEX法によって、マウス/ヒト交差性を示し、内在性リガンドと受容体の結合を競合阻害しない分子を創製する。本年度はまず、選抜条件を最適化し、引き続きマルチプレックスSELEX法を実施した。その結果、TfRおよびIR両標的において、昨年度に取得したアプタマーと同程度あるいはそれ以上の結合活性を持つアプタマーを取得することに成功した。次に、取得したアプタマーの小型化を試みた。その結果、抗TfRアプタマーでは、昨年度取得分子が全長63塩基から40塩基(KD= 110 pM)まで短く、抗IRアプタマーでは、昨年度、本年度取得分子ともに全長63塩基から30塩基(ともにKD = 0.1 pM)まで短くすることができた。次に、SPR解析によって、マウス/ヒト交差性、内在性リガンドとの競合阻害性の評価を実施した。その結果、小型化した抗TfRアプタマーは、内在性リガンドの受容体結合に干渉しないが、マウス型受容体には結合しないことを確認できた。一方、小型化した抗IRアプタマーは、内在性リガンドの受容体結合にある程度干渉するものの、マウス型受容体に対して強く結合することが確認できた。その後、配列最適化による高活性化を図り、それぞれの小型化アプタマーの配列に対してランダム変異を導入したライブラリーを作製し、再度SELEX実験を実施した。しかしながら、結合活性が向上したアプタマーの獲得には至らなかった。現在、培養細胞を用いた評価系によって、小型化した抗IRアプタマーのインスリンの生理的作用(IRとの結合)に対する影響について調べている。
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The Journal of Biochemistry
巻: 174 ページ: 433~440
10.1093/jb/mvad059
https://www.bio-protocol.org/exchange/preprintdetail?type=3&id=2130