八丈島沖でカイメンTheonella swinhoeiを採取した。当該カイメンには内部が黄色いものと白いものがあり、以下それぞれ「TSY」「TSW」と呼ぶ。カイメンを破砕し、破砕液を濾過した。多段階の遠心分離による分画によって、メンブレンべシクルを含む画分を得た。条件検討の結果、緩衝液として塩化ナトリウムを含むHEPES、密度勾配の媒体としてOptiPrepを用いた密度勾配遠心分離によって、脂質を含む画分がバンドとして得られることがわかった。TSYにおいては、密度勾配遠心分離の結果、3つのバンドが生じた。ネガティブ染色法によってこれらの画分を観察したところ、上2つの画分には約200 um程度の小胞様構造物が見られた。一方、TSWにおいては、密度勾配遠心分離の結果、1つのバンドが生じた。ネガティブ染色法によって観察したところ、TSYで見られたものより小さい、数十um程度の小胞様構造物が見られた。さらに、各画分を有機溶媒で抽出してLCMSによって分析したところ、小胞様構造物を含む画分に、セオネラミド、オンナミド、およびミサキノリドが含まれることが明らかになった。
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