研究課題/領域番号 |
22K14818
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
町田 峻太郎 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (40827490)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 微細藻類 / 油糧酵母 / シアノバクテリア / 窒素固定 / バイオ燃料 |
研究実績の概要 |
当該年度は①微細藻類からのエキス抽出方法の検討、および②エキス源とする微細藻類の検討を行った。 実施項目①に関して、エキス抽出方法として、高温高圧法、酸熱分解法、アルカリ熱分解法、および酵素法を検討した。エキス源として市販のスピルリナを使用し、各調製法を検討した。抽出液は全有機体炭素量および全窒素量を測定することで評価した。その結果、豚膵臓由来のパンクレアチンを用いた酵素法が最もエキスの抽出効率が高かった。スピルリナ由来のタンパク質はパンクレアチンに含まれるプロテアーゼ活性によってペプチド、アミノ酸単位に分解されると考えられる。 実施項目②に関して、エキス源の微細藻類として窒素固定能をもつAnabaenaが使用可能か検討した。Anabanenaを窒素欠乏培地で培養し、細胞回収後、①で検討した抽出方法でエキス化した。その結果、市販のスピルリナと同様に、パンクレアチンの処理によって、効率的にエキス抽出が可能であることを確認した。窒素固定藍藻をエキス源とすることで、種々の廃水に含まれる硝酸やアンモニアなどの無機態窒素のみならず、空気中窒素を窒素源として油脂酵母等に供給できるため、本培養システムを構築する上で有効であると考えられる。その他、ラン藻Synechocystisおよびクロレラをエキス源として検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市販品のスピルリナを使用することで、迅速にエキス抽出方法の検討を行うことができた。今後はその他の微細藻類を使用したエキス化法の検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今後は微細藻類エキスを使用した油脂酵母の培養評価と脂質合成能の評価を行う。モデル油脂酵母として、Lipomyces starkeyiを使用する。その他、微細藻類エキス資化性酵母の単離も検討する。方策として、酵母の培養に一般的に使用されるYEP培地(ペプトンや酵母エキスなどを含む)の内、生物由来成分を微細藻類エキスに代替した培地を作製する。そこに環境サンプルを塗布し、出現するコロニーを微細藻類エキス資化性酵母として単離する。単離した細胞は、分子系統解析により同定し、油脂の生産性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった、グロースチャンバーは既存の装置で代用したため、次年度使用額が生じた。今後の使用計画として、分子生物学実験関連消耗品や分析費用に充てる。
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