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2022 年度 実施状況報告書

長寿命生物モデルに見出された新規抗酸化酵素の寿命制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K14830
研究機関新潟大学

研究代表者

田崎 英祐  新潟大学, 自然科学系, 助教 (50816650)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード長寿 / 老化 / 抗酸化酵素 / 生体分子機能 / 社会性昆虫
研究実績の概要

長寿命生物モデル「シロアリの王と女王」に特異的な新規カタラーゼ様抗酸化酵素の生体内における局在と寿命へ与える影響の普遍性について明らかにするため、これまでに以下の研究(1)および(2)を行ってきた。(1)標的酵素の細胞内における局在を特定するため、培養細胞を用いた蛍光イメージングによる局在解析を行った。標的酵素をコードする遺伝子の全長配列に蛍光タンパク質をコードする遺伝子配列を付加した発現ベクターを作成し、培養細胞への遺伝子導入を行った。この発現系を用いた細胞では、小胞体へ発現タンパク質が凝集する様子が観察され、発現後の細胞生存期間が著しく短く、標的酵素の細胞内局在を評価することが困難であった。そこで、標的酵素のシグナル配列部分のみを用いて発現ベクターを作成し同様の実験を行ったところ、発現後であっても細胞生存率が高く、標的シグナル配列を有する蛍光タンパク質の細胞内局在を観察することが可能となった。この手法により、標的酵素が一般的なカタラーゼとは異なる細胞内局在を示すことが明らかとなった。(2)標的酵素が生物寿命へ与える影響を評価するため、遺伝子組換えショウジョウバエを作成し、GAL4/UASシステムによる標的酵素(標的遺伝子)過発現ショウジョウバエを準備した。これらの個体の寿命(生存率)を雌雄別に測定しコントロールと比較したところ、標的酵素を過発現することに寿命延長効果があること、そしてその効果には性差があることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、標的酵素の細胞内局在解析とそれらを過発現するショウジョウバエの生存試験を共に実施し、標的酵素の細胞内局在がコントロールのものと異なること、そして標的酵素に寿命延長効果があることを明らかにし、本研究の枠組みを明確化する重要な知見を得ることができた。研究機関の移動および研究室セットアップという、研究計画時当初からは予想できなかったイベントが生じたにもかかわらず、このような成果が得られたことも評価できる。本プロジェクトの中で得られた研究成果は、第45回日本分子生物学会年会ならびに第67回日本応用動物昆虫学会大会をはじめとする5つの研究集会において発表を行った他、関連する研究成果が査読付き国際学術誌に掲載された。

今後の研究の推進方策

本年度に開発した高い細胞生存率を示す発現ベクターを導入した培養細胞について、細胞内タンパク質分画を行い、各タンパク質画分を用いたウエスタンブロッティングを行うことで、生化学的な局在解析を実施する。また、標的酵素を過発現するショウジョウバエについて、寿命延長効果だけでなく、繁殖能力にも影響があるかどうか明らかにする。さらに、ショウジョウバエの組織特異的に標的酵素を発現させるシステムを用意し、それぞれ過発現個体の寿命および生殖能力を評価する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] King- and queen-specific degradation of uric acid contributes to reproduction in termites2023

    • 著者名/発表者名
      Takao Konishi, Eisuke Tasaki, Mamoru Takata, Kenji Matsuura
    • 雑誌名

      Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences

      巻: 290 ページ: 20221942

    • DOI

      10.1098/rspb.2022.1942

    • 査読あり
  • [学会発表] シロアリの王と女王から見出された新規抗酸化分子の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      田﨑英祐, 井内良仁, 松浦健二
    • 学会等名
      第67回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] 長寿命生物モデル「シロアリの王と女王」に特異な抗酸化分子の機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      田﨑英祐
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] シロアリの王と女王から寿命の謎に迫る2022

    • 著者名/発表者名
      田﨑英祐
    • 学会等名
      第62回新潟生化学懇話会
    • 招待講演
  • [学会発表] 尿酸代謝調節に着目した超長寿命昆虫ヤマトシロアリの生存戦略の解析2022

    • 著者名/発表者名
      梶原由貴, 木村洋貴, 中筋勇希, 藤崎翼, 田﨑英祐, 井内良仁
    • 学会等名
      日本農芸化学会中四国支部第62回講演会
  • [学会発表] 超長寿命昆虫ヤマトシロアリの抗酸化代謝調節2022

    • 著者名/発表者名
      梶原由貴, 中筋勇希, 木村洋貴, 藤崎翼, 田﨑英祐, 井内良仁
    • 学会等名
      第75回日本酸化ストレス学会学術集会
  • [学会発表] Across-individual metabolism of uric acid based on reproductive division of labor in termites2022

    • 著者名/発表者名
      Takao Konishi, Eisuke Tasaki, Mamoru Takata, Kenji Matsuura
    • 学会等名
      19th Congress of the International Union for the Study of Social Insects
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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