研究課題/領域番号 |
22K14856
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山口 勇将 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (40804068)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 異常アミノ酸 / 異常ペプチド / ネギ属植物 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、標準品が入手困難かつ、食品に高含有される異常アミノ酸およびペプチドの抗酸化ストレス機能を解明することであり、その成果を機能性食品の開発に活かすことである。食品にはタンパク質を構成しないアミノ酸(異常アミノ酸)およびそれによって構成されるペプチド(異常ペプチド)が含まれ、抗酸化作用や抗炎症作用、免疫増強作用、血圧降下作用などの機能が報告されており、健康に役立つ可能性がある。古くから薬理効果が高いとされてきたネギ属植物には、ユニークな異常アミノ酸やペプチドが多数、高含有されている。しかしながら、それらのアミノ酸およびペプチドは市販されておらずその機能性研究はほとんど進んでいない。本研究ではネギ属植物にユニークな異常アミノ酸やペプチドを化学合成し、それらの抗酸化ストレス効果やそのメカニズム、バイオアベイラビリティを明らかにする。 ネギ属植物であるニンニクには異常アミノ酸として、アリインが高含有されている。まず、アリインの機能性を解明すべく、令和4年度の研究ではアリインの化学合成に着手した。通常、化学合成したアリインはニンニクにはほとんど存在しない立体異性体が含まれ、混合物となってしまうため、分離技術の開発が必要だった。令和4年度の研究ではHPLCによる分離技術を開発し、化学合成したアリインから立体異性体を分離することに成功した。これにより食品にみられるアリインを正確に評価できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
化学合成したアリインから立体異性体を分離できたものの、一度に分離できる量は僅かであり、試料を多く必要としない細胞実験は実施できるが、一定量必要な動物実験は実施が難しい。また、アリイン以外の異常アミノ酸やペプチドについては化学合成および分離精製が滞っている。本研究の目的を達成するためには、ネギ属植物にみられる様々な異常アミノ酸やペプチドの高純度品が一定量以上必要なため、研究の進捗はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に開発した分離技術では一度に分離できる量は僅かであり、合成物質の分離精製のボトルネックとなっていた。令和5年度の研究では、一度に大量に分離できる装置を導入し、合成物質をより効率的に分離精製できるようにする。こうして得られた異常アミノ酸やペプチドについては、順次、抗酸化ストレス効果やそのメカニズム、バイオアベイラビリティを検証していく。
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