研究課題/領域番号 |
22K14869
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 哲洋 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (60871374)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 米パン / 米粉パン / 変異デンプン / グルテンフリー |
研究実績の概要 |
交配による変異遺伝子の集積を行う間に、まずイネ変異体が産生する変異デンプンおよび変異貯蔵タンパク質そのものを単離することで、最適混合比などの米パン作製に必要な知見の取得を優先する方針に転換した。これらの結果の一部は論文発表に先行して2023年11月に福岡県太宰府市で開催された種子生理生化学研究会で口頭発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本プロジェクトの最終目標は、イネの胚乳デンプンおよび貯蔵タンパクに関する遺伝子変異を利用した、製パン適合性の高いイネ変異体の作出にある。しかし、変異の交配組み合わせによっては形質が単純に相加されない場合が見出され、当初の方針の通り変異の集積を行なった上で製パン性を評価する場合、計画より時間を有することが明らかになった。また、2023年度は他プロジェクト下で勤務させて頂きつつ、当該科学研究費のプロジェクトの進行を行なった。しかし、筆者の能力不足により、当該科学研究費プロジェクトへのエフォートを十分に確保することができず、想定した進捗が得られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度からプロジェクト雇用を離れて出身研究室に所属させて頂き、ほぼ全てのエフォートを本研究テーマに投入することが可能となった。時間投入量を増やして遅れを取り戻す心算でいる。 2024年度以降の研究方針としては、【現在までの進捗状況】に記載した様に、イネ変異体から得られた素材を直接利用することにより、速やかに論文作製を行いたい。また、多重変異体作出までの時間を有効活用するため、下記の様に米パン製法を研究対象に取り入れる予定でいる。 現在、気流粉砕法で得られた微細かつ低損傷のデンプン粒を用いることにより、生地中にPickeringエマルションを形成し、小麦グルテンを用いず生地膨張を実現した米粉パンが主流となっている(Yano, et al. 2017, LWT-Food Science and Technology)。一方で、三洋電機(株)が開発し、パナソニック(株)に引き継がれたライスブレッドメーカー「Gopan」は生米を湿式粉砕する「ペースト法」によって炊飯用の白米を米パンに流用できたことが記録的販売数の要因となった。自身で変異体から得られた米粒の製パン適性を評価するという意味においても、ペースト法について高分子化学的評価を行うとともに、学術論文として報告を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
別のプロジェクト下で勤務しており、筆者の力不足で当該プロジェクトへ効率的にエフォートを割り振ることができなかった。
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