研究課題/領域番号 |
22K14878
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
畠山 友翔 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (20826573)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ハダカムギ / 硝子率 / 加水処理 / タンパク質顆粒 |
研究実績の概要 |
昨年度において、ハダカムギ(品種「ハルヒメボシ」)圃場に雨除けハウスを設置し雨の影響を排除すると硝子率が顕著に高くなること、開花後40日以降に穂へ加水処理を行うことで硝子率が顕著に低くなることを見いだした。年次反復を目的として行った本年度の試験においても昨年とほぼ同様の結果が得られ、加水処理による硝子率の低下は再現性があることが確かめられた。さらに、これまで硝子率に大きく影響するとされている子実タンパク質含量と加水処理による硝子率低下程度との相互作用について解析した。その結果、加水処理を行わない場合と行った場合の両方で、硝子率と子実タンパク質含量との間に正の相関があるが、その回帰直線の傾きは加水処理を行った方が大きく、加水処理は子実タンパク質含量の影響をより顕著にすることを見出した。さらに、同じ子実タンパク質含量の場合、加水処理を行った方が硝子率は低いことが明らかとなった。さらに、「ハルヒメボシ」と比べ硝子率が比較的高いと報告されている「マンネンボシ」についても調査を行った結果、硝子率の品種間差は子実タンパク質含量の違いに起因する可能性が示唆された。子実タンパク質の蓄積について調査するため、登熟期初期と成熟期におけるハダカムギの胚乳細胞を光学顕微鏡で観察した。成熟期におけるタンパク質顆粒の細胞内占有面積と登熟期初期の占有面積との間には正の相関があることが明らかとなり、成熟期の子実タンパク質含量は登熟期初期の胚乳細胞内のタンパク質顆粒の量に強く影響を受けることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年次反復によって、ハダカムギの低硝子率化を実現するために加水処理が有効であることが確かめられた。さらに、硝子率の品種間差の要因、加水処理と子実タンパク質含量との相互作用についても明らかにし、ハダカムギの低硝子率生産技術確立へ向け、有益な知見を得ることができた。さらに、胚乳細胞の光学顕微鏡によって、登熟期初期におけるタンパク質顆粒の蓄積が成熟期の子実タンパク質含量に影響する可能性が示唆され、施肥体系を検討する上で重要な手がかりを得ることができた。これらのことから、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、実際の栽培技術とすることを目指し、水噴霧の実証試験を様々な圃場で行うことで、その実用性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、ハダカムギの登熟期後期(5月)の栽培、調査が重要である。その試験と調査に必要な物資購入のため次年度使用額が生じた。したがって、5月の試験に必要な物資を購入する予定である。
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