研究課題/領域番号 |
22K14879
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
橋田 庸一 高崎健康福祉大学, 農学部, 助教 (00802886)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イネ / 糖代謝 / 転流 / トランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
作物の葉で光合成によって同化された炭素はショ糖として他器官に転流し、植物体の成長や子実の生産に利用される。作物の葉におけるショ糖合成は、転流効率の制御を通じて作物の生産性に重要な役割を果たすと考えられてきた。しかし、ショ糖合成に関わる酵素の重要性やショ糖合成能と転流効率の関係は、主に種間比較やショ糖合成関連遺伝子の変異体・過剰発現体を用いた解析によって評価されており、種内比較による評価は十分に行われていない。 本研究では、多様なイネ遺伝資源を用いてショ糖合成能に関わる要因および転流効率を測定し、両者の種内多様性と関連性を明らかにすることで、ショ糖合成能の向上による転流効率の向上が可能か検証することを目的としている。また、ゲノムワイド関連解析(GWAS)やトランスクリプトーム解析といったオミックス解析を活用し転流効率の品種間差を決定する遺伝的要因を明らかにすることを目指している。 本年度は農研機構の日本在来イネ・コアコレクション(JRC)50系統の生育比較および葉の糖・デンプン濃度の評価を進めた。転流効率の測定を正確に行うためには、生育段階をそろえる必要がある。そのため、人工気象器による栽培方法(光源等)を検討し、生育方法とサンプリング時期を確立した。その方法を用いて初期生育の評価を進めた。さらに、葉をサンプリングし、糖・デンプン濃度の測定を進めた。また、生育段階が進んだイネにおける生育と転流効率の関連の評価に向けて、JRC50系統を高崎健康福祉大学附属農場の水田圃場にて栽培し、移植後1か月の草丈・茎数および地上部乾物重を測定した。さらに転流効率の品種間差を決定する遺伝的要因を明らかにするため、JRCの塩基多型情報の整理を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人工気象器による栽培方法の検討に想定よりも時間がかかったため、転流効率の評価に遅れが生じている。一方、水田移植後1か月の生育特性の評価については、予定年度(3年目)より早く実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きJRCの初期生育、葉の糖デンプン濃度および転流効率の評価を進める。その結果をもとに転流効率の異なる系統を選抜し、葉におけるショ糖合成能を比較する。また、測定した形質を利用してGWASおよびトランスクリプトーム解析を行い、形質の制御に関わる遺伝的要因の解明を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた備品が予算の都合で購入できなかったため、次年度使用額が生じた。この予算はトランスクリプトーム解析の受託費用に使用する。
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