研究課題/領域番号 |
22K14883
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
池田 裕樹 宇都宮大学, 農学部, 助教 (90782053)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | タマネギ / 鱗茎肥大 / 分球 / 内生植物ホルモン / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
タマネギの生産性には、可食部である鱗茎の肥大程度のほか、抽苔、病害虫、分球などが影響する。このうち鱗茎の肥大には日長と温度が関与し、品種の限界日長を越えるとFT様遺伝子のAcFT1遺伝子が発現して鱗茎肥大を促す。一方、AcFT1以外の遺伝子や、内生植物ホルモンなどの生理学的要因が、鱗茎肥大に及ぼす影響については不明な点が多い。また分球を抑制できれば、歩留まりと品質の向上が可能であるが、分球が生じる生理学的メカニズムや遺伝子は明らかにされていない。そこで本研究では、タマネギにおいて鱗茎肥大と分球が生じるメカニズムを、内生植物ホルモンと遺伝子発現の動態に注目して解明することを目的とした。これまでの研究では、市販のタマネギ11品種を用いて分球の有無を比較し、極早生から早生の品種では、内分球とよばれる鱗茎が内部で2つ以上に分かれる分球の発生率が低く、中生から中晩生の品種では高いことを明らかにした。また内分球の発生率が低い早生品種‘ソニック’と、発生率の高い中晩生品種‘泉州黄’において、鱗茎の内生植物ホルモンをタンデム型質量分析装置(LC-ESI-MS/MS)で測定して比較した。その結果、先行研究でタマネギの鱗茎肥大との関連が示唆されているサイトカイニン、および植物の分枝や分げつに関与するオーキシンの内生量は、いずれも‘ソニック’より‘泉州黄’で高く、早晩性や内分球との関係が示唆された。また、鱗茎肥大と分球に寄与する遺伝子の同定、および同定した遺伝子の機能を証明するための形質転換実験に向けて、候補遺伝子の探索などを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度までに、タマネギの鱗茎肥大や分球に関係すると考えられる要因について、複数の栽培品種を対象に調査・比較するとともに、内生植物ホルモンの解析を行った。その結果、品種の早晩生が内分球の発生率に関係していること、および内分球の発生率が高い品種では、鱗茎におけるサイトカイニンとオーキシンの内生量が高いことを明らかにした。また、鱗茎肥大と分球に寄与する遺伝子の同定、および同定した遺伝子の機能を証明するための形質転換実験に向けて、候補遺伝子の探索などを進めた。これらの研究の進捗状況、および得られた結果は当初の予定通りであることから、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでの研究結果を裏付けるため、タマネギ11品種における内分球発生率、および鱗茎における内生サイトカイニンとオーキシンの比較を進めていく。また、アブシジン酸やストリゴラクトンなど、鱗茎肥大や植物の分枝・分げつに関与すると考えられる他の植物ホルモンに関しても、測定を試みる。さらに鱗茎肥大と分球に寄与する遺伝子の同定や、その機能を証明するための形質転換実験に向けた手法の確立なども、引き続き進めていく。得られた成果は適宜とりまとめ、学会や学術論文等で公表する。
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