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2023 年度 実績報告書

チョウ目昆虫におけるウイルス性オス殺しの分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K14903
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

長峯 啓佑  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 研究員 (20817548)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードオス殺し / 昆虫 / 共生微生物 / ウイルス / 性操作 / 生殖操作 / Male killing / 性比異常
研究実績の概要

昆虫では,細胞内共生微生物がオス宿主を特異的に死亡させる“オス殺し”が多数報告されているが,オス殺しのほとんどは細菌によるものでウイルスによる事例はわずかであり,ウイルス性オス殺しの分子機構はほとんど分かっていない.ハスモンヨトウから見つかったオス殺しウイルス(SlMKV)のゲノム解析を行った結果,ゲノム上には僅か7つの遺伝子しかコードされていないことが明らかになった.そこで本研究では,ウイルス遺伝子を導入した組換えカイコを利用した機能解析,およびReMOT法を参考にした卵移行性組換えウイルスタンパク質を利用した機能解析によりオス殺しを引き起こすウイルス遺伝子の特定を試みた.
これまでに作出した各ウイルス遺伝子を導入した遺伝子組換えカイコについて,それぞれのウイルス遺伝子を強制発現させたところ,いずれの遺伝子を発現させてもオス殺しは再現されなかった.一方,卵移行性のウイルス組換えタンパク質については,これまでに発現精製してきた3つ遺伝子に由来する組換えウイルスタンパク質を、宿主であるハスモンヨトウのメス成虫にそれぞれ注射したところ,これら3つのタンパク質は次世代の胚に導入されるものの,いずれのタンパク質を導入してもオス殺しは再現されなかった.
以上の結果から,本研究ではオス殺しの原因遺伝子の特定には至らなかったが,今後オス殺しの原因遺伝子を特定するには,以下のような可能性を考慮して解析を進める必要があるだろう.1)SlMKVの遺伝子は本来の宿主ではないカイコに対してオス殺しを起こさない.2)卵移行性組換えタンパク質として精製できなかった残り4つの遺伝子のいずれかがオス殺し遺伝子である.3)単一の遺伝子ではオス殺しを起こさない(複数の遺伝子が機能してオス殺しを起こす).4)タンパク質を介さずウイルスRNAそのものがオス殺しを引き起こす.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Male-killing virus in a noctuid moth <i>Spodoptera litura</i>2023

    • 著者名/発表者名
      Nagamine Keisuke、Kanno Yoshiaki、Sahara Ken、Fujimoto Toshiaki、Yoshido Atsuo、Ishikawa Yukio、Terao Misato、Kageyama Daisuke、Shintani Yoshinori
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 120 ページ: e2312124120

    • DOI

      10.1073/pnas.2312124120

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Male killing induced by maternally inherited viruses in arthropods2023

    • 著者名/発表者名
      Kageyama D, Harumoto T, FujiwaraA, Watada M, Nagamine K, Kanno Y, Shintani Y
    • 学会等名
      The 11th Wolbachia conference
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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