研究課題/領域番号 |
22K14922
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
福本 桂子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (30822712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 林業 / 下刈り / 雑草木 / 先駆種 / プロセスベースモデル / アロメトリー式 |
研究実績の概要 |
下刈りは造林樹種以外の雑草木を刈り払う作業のことで、スギやヒノキの成長を促すために必要な作業とされてきた。その一方で、林業経営を改善するためには省力化が求められている。これまで、下刈りの省力化に関する多くの議論は、造林樹種の成長のみに焦点が当てられており、競争相手である雑草木の成長・再生過程は見落とされてきた。本研究では主たる雑草木の成長・再生速度を種別にモデル化し、造林樹種と雑草木の競争過程を明らかにすることを目的とする。令和4年度は各種の成長モデルを構築するために必要な地上部・地下部現存量を推定するためのアロメトリー式を構築した。対象樹種はアカメガシワ、タラノキ、エゴノキ、ヌルデ、リョウブである。各種の平均根元直径(D)は0.60~1.16cm、樹高(H)は0.59~1.09mであった。推定精度の高いアロメトリー式を構築するため、説明変数にD、H、D2Hを用いRMSEを基に最も説明力の高い説明変数を検討した。パラメータの推定には非線形最小二乗法を用いた。その結果、説明力の高い変数は樹種によって異なりエゴノキ、ヌルデ、リョウブはD、アカメガシワはH、タラノキはD2Hであった。この違いは樹種の生活様式や形態による違いが影響していると考えられた。また、D2Hを用いることによって地上部、地下部現存量を1式で推定できることがわかった。次年度は、下刈り回数の異なる試験地において対象樹種のサイズを測定し、各種の地上部・地下部現存量を算出し成長モデルを構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、主たる雑草木の成長・再生速度を明らかにするためにプロセスベースモデルを導入した成長解析を行う。今年度はモデル化に必要なデータである各種の地上部・地下部現存量を推定するアロメトリー式を作成した。現在5種のアロメトリー式を作成したが、クマイチゴ、ソヨゴ、ハイノキについても順次追加していく予定である。当初の予定通りおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
対象樹種の成長モデルを構築するために、現地調査にて根元直径、樹高を測定する。このとき、下刈り回数の異なる試験地を対象とすることで、下刈りが雑草木の成長に与える影響を検証する。現地調査から得られたデータと気象データを合わせ、下刈りの影響を考慮した種別の成長モデルを構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査地に繋がる林道が台風・大雨被害をうけ一時通行止めとなり現地調査が実施できない時期があった。次年度は旅費と物品購入に使用する。
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