研究課題/領域番号 |
22K14931
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩平 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (30826558)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 音響散乱強度 / 周波数特性 / スケトウダラ / 噴火湾 |
研究実績の概要 |
本年度は,噴火湾周辺海域に生息する生物種を対象に広帯域計量魚群探知機を用いて音響散乱強度のデータを収集した。2022年4月から6月の各月と10月に,北海道大学附属練習船うしお丸を用いた調査を行った。4月,5月の調査では噴火湾内および噴火湾後部で,6月,10月の調査では噴火湾外部でそれぞれ観測した。観測された生物の群れ(音響散乱層)に対して,異なる周波数に対応した合計5個のトランスデューサーを利用し,音響散乱層の周波数34 kHz~450 kHzの連続的な周波数特性を計測した。また同時にフレームトロール漁具を用いて音響散乱層を構成する生物を採集して,その種組成や体長分布を調べた。観測した場所でCTDによる海洋環境の計測を行い,深度層毎の水温や塩分等のデータを得た。 採集結果から,音響散乱層を構成する主要生物(スケトウダラ,ハダカイワシ類,オキアミ類,タンキャク類,カイアシ類,ヤムシ類)それぞれについて音響散乱モデルを適用して,その散乱強度の周波数特性の理論値を求め,実測したデータと比較した。その結果,スケトウダラ稚魚が3割ほど含まれる散乱層や,オキアミ類が優占していた散乱層で,実測値と理論値がよく合う結果となった。しかし,実測値と理論値が合わなかったデータも含まれていた。この原因としては,春季に噴火湾の表層で発生する珪藻類の影響や,フレームトロールでは(逃避するため)採集できない魚類の影響が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き,音響判別に関わる基礎データの収集を行うことができた。これまでの調査で様々な条件下でデータを得られていることから,本課題の進捗状況は概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査結果を踏まえて,種判別のために必要なデータを引き続き収集する。また,これまで収集したデータを整理し,多変量解析や機械学習をベースとした判別アルゴリズムの検討と評価を行う。 また,本研究で得られた生物の周波数特性に関する知見や,それをベースとした種判別に関する内容をまとめ,学術雑誌に論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が下半期に長期不在となり,当初予定していた国際学会への参加などができなくなった。繰り越しが生じた予算については,論文投稿費やそれに伴う英文校閲費,学会参加のための旅費として使用する予定である。
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