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2022 年度 実施状況報告書

ゲルビーズを利用したリン蓄積微細藻類-微生物共培養による低コストなリン回収技術

研究課題

研究課題/領域番号 22K14935
研究機関東京大学

研究代表者

片山 智代  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (10755656)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード微細藻類 / リン回 / 共培養 / 酵母 / 環境負荷低減 / 廃水
研究実績の概要

世界的にリン資源回収の必要性が高まっており、微細藻類を利用した廃水中のリン除去・回収の可能性が注目されているが、実用化にはリン回収率の向上・低コスト化が課題である。本研究では、ゲルビーズを利用した微細藻類-微生物の共培養により、低コストでの効果的なリン回収技術を構築することを目的としている。そのために(1)増殖やリン回収率が向上する微細藻類と微生物との組み合わせを同定し、(2)ゲルビーズでの微細藻類-微生物の共培養によるリン回収率を評価する予定である。
初年度は、実験に使用する微生物株の選定をおこなった。本課題では、代表者が発見したポリリン酸蓄積微細藻類株を用い、ゲルビーズを利用した廃水からの高負荷栄養塩除去・リン回収技術の構築を目指すため、この藻類株の増殖やリン回収率が向上する微生物を選定する必要がある。微生物の中でもポリリン酸を蓄積し、有用物質も生産する酵母に着目し、系統保存施設から入手した5株の酵母と藻類株との共培養実験を行った。実験は、人工気象器内で120 rpmの振とう培養(温度25度、光強度150 μE/m2/s、明期14時間:暗期10時間)を約2週間行った。3株の酵母において藻類株の増殖促進が確認でき、中でもYarrowia keelungensisとの組み合わせが最も良いことが明らかとなった。また、藻類株は緑藻クロレラ目の新属である可能性が高く、現在、分子生物学的手法を用いた同定を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的の一つである、微細藻類の増殖促進を向上させる微生物との組み合わせを特定することができた。3株の酵母において増殖促進効果が見られ、最終的にゲルビーズでの包括培養実験に用いる酵母を1つ選定する予定である。以上を鑑みて、「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

共培養に用いる酵母との組み合わせを同定する実験では、藻類用f/2培地にグルコースと酵母抽出物を添加した培地を用いた。グルコースと酵母抽出物の添加濃度によって増殖の結果に違いが生じるか確認するため、追加実験を行い、最終的に実験に使用する酵母を選定する予定である。これにより選定された酵母と微細藻類との組み合わせを用いて、ゲルビーズで包括した共培養によってリン回収率の評価実験を予定している。

次年度使用額が生じた理由

酵母株の選定が順調に進み、追加の株購入費用が発生しなかったため、わずかに差額が生じた。次年度は引き続き共培養実験、およびゲルビーズを利用した培養実験を予定しており、実験に関わる消耗品や試薬代、論文投稿料として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Bioprospecting of tropical microalgae for high-value products: n-3 polyunsaturated fatty acids and carotenoids2022

    • 著者名/発表者名
      Tomoyo KATAYAMA, Norazira Abdu Rahman, Helena Khatoon, Nor Azman Kasan, Norio Nagao, Yuichiro Yamada, Kazutaka Takahashi, Ken Furuya, Mohd Effendy Abd Wahid, Fatimah Md. Yusoff, Malinna Jusoh
    • 雑誌名

      Aquaculture Report

      巻: 27 ページ: 101406

    • DOI

      10.1016/j.aqrep.2022.101406

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高アンモニア耐性をもつポリリン酸蓄積微細藻類の探索2023

    • 著者名/発表者名
      片山智代, 高橋一生, 古谷研, Mohd Effendy Abd Wahid, Fatimah Md. Yusoff
    • 学会等名
      日本藻類学会第47回大会
  • [学会発表] Bioprospecting of polyphosphate-accumulating microalgae with ammonium tolerance for phosphorus recovery from wastewater2022

    • 著者名/発表者名
      Tomoyo KATAYAMA, Kazutaka Takahashi, Ken Furuya, Mohd Effendy Abd Wahid, Malinna Jusoh
    • 学会等名
      COSMOS International Conference 2022
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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