研究実績の概要 |
本研究の目的は、以下の3点に着目することで、内着物形成メカニズムを解明し,内着物と斃死の関係性を明らかにすることである。①貝同士の衝突強度が内着物形成と生残率に及ぼす影響②飼育密度とそれに伴う貝の接触頻度が、内着物形成と生残率に及ぼす影響③構成タンパクから推定する内着物の機能。 令和5年度は,ホタテガイどうしの衝突と,飼育密度が内着物形成・生残に及ぼす影響を評価した。なお,令和5年度の試験は令和4年度の結果を受けて,海水かけ流し飼育により,観察期間の飼育を行った。 ①水流撹拌機を用いて、ホタテガイを衝突させる試験を行った。衝突時間は,1,3,5,10分と設定した。その後,海水かけ流し飼育により,衝突後の飼育を行った。飼育期間終了後,ホタテガイ死亡数を計測するとともに,貝殻内部の内着物形成の有無を調べた。その結果,衝突区では,内着形成率が対照区に比べて高くなる傾向が認められ,5分衝突させた試験区では,対照区に比べて有意に高い値を示した。また,衝突時間が上昇するにつれて,生残個体数も減少する傾向が認められた。以上の結果から,水流撹拌機における衝突が,ホタテガイの内着形成と生残に影響することが示唆された。 ②ホタテガイの飼育密度を最大150個体 /m2に設定し,種々の密度における飼育試験を行った。その後,先の試験と同様に,ホタテガイ死亡数を計測するとともに,内着物の有無を調べた。その結果,密度変化による内着形成率の顕著な変化はいずれの群においても認められなかった。 ③令和5年度は未実施
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