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2022 年度 実施状況報告書

サクラマス養殖の防疫に向けたプロテオーム解析による混合感染の重症化メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K14942
研究機関地方独立行政法人北海道立総合研究機構

研究代表者

西川 翔太郎  地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 水産研究本部 さけます・内水面水産試験場, 主査 (80845727)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード魚病 / 混合感染 / 伝染性造血器壊死症 / 細菌性冷水病 / サクラマス / プロテオーム解析
研究実績の概要

近年、伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)と診断されたサケ科魚類の瀕死魚から細菌性冷水病原因細菌(冷水病菌)が同時に検出される混合感染の症例が増加している。これら感染症の単独感染に対しては消毒や投薬等の防疫対策が実施されているが、これら感染症の混合感染については発症と重症化のメカニズムが不明であり、どのような対策をとるべきか適切な防疫指針が示されていない。本研究は、混合感染発症と重症化のメカニズムを明らかにし混合感染を効果的に防疫するための指針策定を目指すことが目的である。
サクラマスに冷水病菌及びIHNVを単独感染もしくは混合感染させる人為的感染試験を実施し、混合感染による死亡率すなわち重症化への影響を検討した。加えて、冷水病菌とIHNVのどちらを最初に体内に保有していた場合に重症化するのかについても検討した。その結果、冷水病菌単独感染で累積死亡率30%程度、IHNV単独感染で70%程度であったのに対し、冷水病菌-IHNV混合感染時の累積死亡率は90~100%であった。また、冷水病菌を体内に保有している状態でIHNVに感染した時の日間死亡数がIHNVを体内に保有している状態で冷水病菌に感染した時のそれに比べて多く、急激に病態が悪化し死亡数が増加していることが示唆された。累積死亡率については同等もしくは冷水病菌保菌魚の方が若干高かった。さらに、上記と同様の感染実験を実施し、死亡時の腎臓におけるタンパク質の発現動態をプロテオーム解析により調べ、病態の重症化に寄与するタンパク質を探索した。サクラマスの腎臓中から3,000程度のタンパク質が検出され、現在、各試験群で発現動態の異なるタンパク質を解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は各種病原体を用いた感染試験を実施し、混合感染による死亡率への影響とその際に腎臓で発現しているタンパク質の網羅的解析を実施した。試験に使用するサクラマスの魚体サイズや感染試験、プロテオーム解析に時間を要したが、当初予定していた試験計画は達成できたため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後は宿主腎臓内における各病原体の定量系を確立し、各病原体に単独感染もしくは混合感染したサクラマス腎臓中における各病原体量を把握する。また、これまで明らかにした各感染状態のサクラマスの累積死亡率や腎臓での発現タンパク質プロファイル、各病原体量の経時的変化等の情報をもとに混合感染症の重症化に寄与する要因や重症化を防ぐための対策を考察する。

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公開日: 2023-12-25  

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