研究課題/領域番号 |
22K14981
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
徳武 優佳子 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90824657)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 暑熱 / ブロイラー / 小胞体ストレス / 4-フェニル酪酸 |
研究実績の概要 |
本申請課題では、小胞体ストレスと暑熱下における体温調節との関連性を明らかにし、熱射病発生を低減可能な飼料管理を実現するため、以下の2つの課題を追究している。①暑熱下のブロイラーにおいて小胞体ストレスがどのように体温調節に影響したのか機序の解明および、②小胞体ストレス軽減効果のある資源の探索。 ①に関して:ブロイラーを対照区、小胞体ストレス軽減区(4-PBA区、TUDCA区)の3区に分け、4-PBA区、TUDCA区のニワトリには暑熱曝露前の10日間においてそれぞれの化合物を飼料中に添加し給与した。36℃の暑熱ストレスに48時間曝露したすべてのニワトリで、体温の上昇が確認されたが、4-PBA区でわずかに体温抑制効果が認められた。このことは過去に得られた急性暑熱曝露データを再現するものであった。一方、熱産生・放熱にかかわると考えられる項目(採食量・飲水・排泄量)に差はみられなかった。それぞれのニワトリから組織(脳・腸上皮・骨格筋)を採取し、今後遺伝子解析実験に供する予定である。 ②に関して:培養ニワトリ胚線維芽細胞の培養系を確立し、さらに熱ストレス誘導性小胞体ストレスを検知可能なレポーターシステムを構築完了した。このシステムはGRP78遺伝子のプロモーター領域を使用しており、小胞体ストレス存在下で発光し、小胞体ストレス度合いを定量可能であることが明らかになった。一方で、急性暑熱化のニワトリ体温に近い44℃の温度条件下においては、通常のルシフェラーゼが機能しないことが明らかとなったので、新たに構築し直した熱耐性の高いルシフェラーゼシステムを用いて、今後スクリーニングを行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の動物試験によって、小胞体ストレス緩和と熱ストレスとの関係解明に必要かつ、今後の解析部位となる脳、腸上皮、骨格筋組織を得ることができたため。また、スクリーニング試験の要となるルシフェラーゼベクターの構築が完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、採材した脳、腸上皮、骨格筋組織を用いたメカニズム解明および、スクリーニング試験を含むin vitro試験を同時並行で推進していく。
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