研究課題/領域番号 |
22K14989
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
渡邉 謙一 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (10761702)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 元素分析 / 金属元素 / 神経疾患 |
研究実績の概要 |
本研究の契機症例となった褐毛和種牛の封入体病では、特定の神経細胞の細胞質内にSOD1の異常凝集体からなる封入体形成が認められる。タンパク質の異常凝集は多くの神経変性疾患に共通する病理組織学的変化であり、細胞内外での凝集体形成機序については様々な仮説が立てられているが、遺伝子変異やアミノ酸置換のみでは説明できない。凝集体形成に関わるタンパク質に一部は金属元素によりその活性が制御されており、SOD1は銅や亜鉛イオンを活性中心に持つことから、凝集体形成機序に対する新たなアプローチとして、タンパク質と金属元素との関連性に着目した。本研究では、褐毛和種牛の封入体病の脳組織を用い、牛の脳における金属元素の構成と分布を明らかにすることを目的とする。動物組織の元素スクリーニングにはICP-AESを用い、初年度は正常組織を用いた元素分析手法の確立と背景データの取得を実施した。組織サンプルの前処理には高感度なマイクロ波質式分解法を基軸とするものの、多検体処理には不向きであったことから、乾式可易化法との比較を行い、各元素の検出感度などの最適化を実施している。また、新鮮凍結材料、ホルマリン固定組織、FFPEなど保存状態の異なる組織に対する処理方法の比較検討などを実施している。2年目移行は症例の組織と背景データとを比較し、疾患との関連が強く、かつ測定可能な元素の絞り込みを行う。対象となる元素についてはLA-ICP-MSなどによる局在証明なども検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
脳組織など脂質に富む組織については器具への付着によるサンプル処理中の試料損失が多いことから、試料の粉砕や処理に想定よりも時間を要している。また、背景データの取得には多数の個体、多数の臓器からのデータ取得が必要であり、研究の進捗は遅れている。また、分析担当の研究協力者の転出も進捗の遅れの原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究全体の方向性については当初の予定通り遂行するが、試料の処理効率を向上させるために、乾式可易化などへの変更を計画している。また、最終年度に予定していた土壌や地下水などの環境中の元素分析の実施については2年目の進捗状況をみて判断する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費など予定していた支出の一部を別予算にて工面できたため。LA-ICP-MSなど元素の局在に関する解析には高額な消耗品が発生することから、繰越分の予算についてはR6年度以降の消耗品等購入に充てる。
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