研究課題/領域番号 |
22K14996
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
権平 智 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (80795089)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乳房炎 / アミノ酸 |
研究実績の概要 |
「乳房炎」は酪農業において発生率が高く最も経済的損失の大きいウシの感染症である。常在細菌叢の代謝産物であるアミノ酸が免疫系を活性化させ、感染症に対する抵抗性が増強されることが報告されている。しかしながら、ウシ乳腺腔内において形成されている常在細菌叢が「乳房炎」に対して免疫システムとどのように関与しているかは明らかとなっていない。本研究は乳腺感染の効果的な制御を目標に、乳汁中の常在細菌とアミノ酸が構築している免疫制御システムを明らかにし、乳腺感染における白血球の機能に伴う免疫学的制御機構の解明を目的として実施する。まず、乳腺内および末梢血液中の遊離アミノ酸レベルを明らかにして、乳腺内におけるアミノ酸レベルをもとに、乳腺組織のアミノ酸トランスポーターの発現調節、情報伝達系を解析することで乳腺免疫に対する機能修飾条件を明らかにする。具体的には、同一飼育環境における臨床的に健康な泌乳牛のアミノ酸レベルを明らかにする。また、常在細菌叢の代謝によるアミノ酸だけではなく、血液から取り込まれるアミノ酸にも着目し、その輸送システムであるアミノ酸トランスポーターの発現解析を行う。 乳房炎を発症しているウシ乳腺腔内の乳汁における遊離アミノ酸レベルは健康な乳汁の遊離アミノ酸レベルとは異なる結果が得られている。また、乳房炎のウシ乳腺組織で発現しているアミノ酸トランスポーターは健康なウシ乳腺組織で発現しているアミノ酸トランスポーターとは異なる種類であることが明らかとなった。これら一連の結果より、乳腺感染がアミノ酸トランスポーターの発現を調節することで血液から乳汁へのアミノ酸動態に影響を及ぼしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定のアミノ酸トランスポーターの発現解析は現在進行中であり、遺伝子発現解析では乳腺組織と乳腺上皮細胞の両方でアミノ酸トランスポーター発現を検討している。次年度以降に予定していた乳腺上皮細胞の初代培養分離ができており、この細胞を使用して引き続き研究を進めていく予定である。材料としての乳腺組織は採材できているが、免疫染色に使用する抗ウシ抗体は選択肢が少ない中で選定をする必要がある。また、菌叢解析では当初はショットガンメタゲノム解析を想定していたが、乳汁中の核酸量が不足して解析が十分にできないことから、16sメタゲノム解析に切り替えることとした。乳汁および血液中の遊離アミノ酸レベルの定量もデータを蓄積しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定のアミノ酸トランスポーターの解析は現在進行形で進んでおり、常在細菌叢解析のデータ解析と乳腺組織のアミノ酸トランスポーター発現解析は引き続き実施していく予定である。さらに今後の方針として白血球の免疫機能評価、特に好中球の機能評価に着手していく予定である。
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