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2022 年度 実施状況報告書

牛乳房炎におけるケモカインCCL28の発現機序と役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15001
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

長澤 裕哉  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (20759352)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード牛 / 乳房炎 / ケモカイン / 傷害抑制
研究実績の概要

ケモカインCCL28は、抗菌ペプチドの領域を持つため、CCL28が細菌に直接作用して乳腺上皮細胞の傷害抑制、ひいては細菌感染後の乳房炎の症状の緩和・治癒に寄与している可能性が考えられる。本年度は、CCL28が持つ乳房炎原因菌に対する抗菌作用および乳房内細菌感染を想定した乳腺上皮細胞株(BMEC)におけるCCL28の合成と分泌機序について明らかとすることを目的とした。まず、牛の組換え型CCL28を大腸菌発現系において作製し、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:SA)とTris-HClおよびスキムミルク中で混合し、1時間処理したSAを回収し、血液寒天培地で平板培養し、生菌数を測定した。Tris-HCl中でCCL28をSAに添加した結果、濃度依存的にSAの生存率が減少した。また、スキムミルク中においても抗菌活性を示した。以上より、乳汁中の細菌感染後のCCL28は乳房炎の症状緩和に寄与している可能性がある。次に、BMECへSA死菌を添加し、経時的に培地および細胞を回収し、CCL28の発現量をELISAやWestern blot解析により測定した。BMECへSA死菌を添加した結果、添加したSA死菌の濃度依存的に培地中にCCL28が検出され細胞内においても時間依存的にCCL28の発現が上昇した。よって、CCL28はSA死菌の刺激によりBMEC中で合成・分泌されることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、CCL28が持つ乳房炎原因菌に対する抗菌作用および乳房内細菌感染を想定した乳腺上皮細胞株(BMEC)におけるCCL28の合成と分泌機序について解析を行い、当初の予定通り、CCL28が、乳汁中でも細菌感染後の乳房炎の症状緩和に寄与している可能性があること、SA性乳房炎の発症に関連して乳汁中にCCL28が発現する可能性があることが示されたため、本課題はおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

今後の研究方針として、乳汁中CCL28の動態と病態との関連を明らかとするため、牛への乳房内実験感染および臨床現場において臨床型乳房炎の症状を呈した乳房炎の乳汁中CCL28の発現を解析する。

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公開日: 2023-12-25  

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