研究課題/領域番号 |
22K15027
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
奥嵜 雄也 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (30837208)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | CRISPRスクリーニング / ゲノム編集 / インフルエンザウイルス / 遺伝子組換えニワトリ |
研究実績の概要 |
インフルエンザウイルス抵抗性を示すニワトリの作出にあたり、本年度の研究ではウイルス耐性遺伝子候補の取得を目的としたCRISPR-Cas9を用いたスクリーニングを行うためのシステムを構築した。ニワトリ遺伝子を対象としたCRISPR-Cas9 gRNAライブラリは存在したいため、まずgRNAライブラリの構築を試みた。データベース上にアノテーションが存在する14000種類のニワトリ遺伝子のタンパク質コード領域を対象とし、各遺伝子に対してCRISPR-Cas9 gRNAの標的配列をそれぞれ6つずつin silicoで設計した。次いでこれら標的配列をカスタムマイクロアレイ上に合成し、PCRにより二重鎖DNAへリカバリーした後gRNA発現用レンチウイルスベクターへとクローニングを行うことでgRNAライブラリを作製した。また、並行してインフルエンザウイルスの感染実験に用いるニワトリ線維芽細胞DF1に対して、piggyBacトランスポゾンベクターを用いて恒常的もしくはテトラサイクリン依存的にCas9タンパク質を発現する安定発現株の樹立を行った。さらに作製した安定発現株をクローン化し、Cas9によるゲノム編集効率が高い株を選抜した。今後これらの材料を用いてインフルエンザウイルス耐性遺伝子のスクリーニングを進める予定である。本研究は世界で初めてニワトリの全遺伝子を対象としたgRNAライブラリを作製した。ニワトリは食肉や食用卵の生産に重要な家禽であり、また鳥類モデル生物として発生学などの基礎生物学においても広く用いられている。本研究で作製したgRNAライブラリは育種や発生学を目的としたCRISPRスクリーニングにも適応可能であり、したがって遺伝子工学的ツールとしても汎用性の高い有益なものだと考えらえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究によりCRISPR-Cas9スクリーニングに用いるためのsgRNAライブラリの構築と、インフルエンザウイルス感染実験に用いるためのCas9発現ニワトリ線維芽細胞DF1の樹立が完了した。これらの進捗を当初の計画と照らし合わせるとおおむね順調に進展しておると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まず作製したgRNAライブラリを用いてレンチウイルスを作製し、これをCas9発現ニワトリ線維芽細胞DF1に対して0.1から0.5程度の低い多重感染度で感染させることで標的gRNAの配列をDF1のゲノムDNA中に組み込むと共に、ランダムに特定の遺伝子が破壊されたバルクDF1細胞を作製する。ついでこの細胞集団に対してトリインフルエンザウイルスを感染させ、生存あるいは感染が成立しなかった細胞をセルソーターなどにより分離・回収する。その後回収した細胞よりゲノムDNAを精製し、ゲノム中に組み込まれたgRNAの配列をPCRにより増幅し、アンプリコンシーケンスによりこれらの配列を解析することでインフルエンザウイルスの感染に対して抵抗性を示す遺伝子群の候補を特定する。
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