研究課題/領域番号 |
22K15030
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鴨下 真紀 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (70930288)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ペルオキシソーム / 小胞体 / 生殖 |
研究実績の概要 |
ペルオキシソームや小胞体などの細胞小器官(オルガネラ)はそれぞれが物理的に接触(コンタクト)することで様々な代謝反応を調節している。哺乳類の細胞内では約70%のペルオキシソームが小胞体とコンタクトしているが、生殖機能における役割は不明である。本研究では、ペルオキシソーム-小胞体(PO-ER)コンタクトが生殖における役割を明らかにすることを目的とし、PO-ERコンタクトを制御する繋留タンパク質の遺伝子acbd4および5の遺伝子KOマウスを作製し、妊孕性を検討した。 acbd4および5を単独で欠損させた若齢(8週齢)マウスは2か月間の交配試験および体外受精の結果妊孕性を有していた。4か月齢以上のacbd5 KOマウスは不妊であるという既報に従い、4か月齢以上のマウスを使用し同様に交配試験および体外受精により妊孕性を評価したが、acbd4および5ともに完全な不妊ではなかった。 ACBD4および5はどちらもPO-ERコンタクトの繋留タンパク質であり、小胞体の繋留タンパク質であるVAPA/Bと結合することから、それぞれが機能を補っていると考えられている。したがって、単一遺伝子の欠損ではPO-ERコンタクトの減少が不十分な可能性が考えられた。そこで、acbd4/5ダブルノックアウトマウスの作製を行い、交配試験により妊孕性の有無を評価したところ、雌において不妊が確認された。今後は不妊の原因を明らかにするため、さらなる解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度で作製したacbd4およびacbd5のKOマウスの長期的な交配試験によって時間がかかった。また、結果としてこれらのマウスが不妊を示さなかったため、ダブルノックアウトマウスを作製して交配試験をやり直す必要性が生じた。これらの理由から、現在までの進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
acbd4/5ダブルノックアウト雌マウスを使用して不妊となる原因を詳細に解析する。具体的に、卵巣の組織学的解析により卵形成の異常の有無を調べる。また、WT雄精子との体外受精により受精、胚発生に影響があるか調べる。これらの点が正常であった場合、着床や妊娠中の影響を解析する。また、卵形成から胚発生までの一連のペルオキシソームー小胞体コンタクトの動態を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子欠損マウスの作製が順調に進んだため、当初予想していたよりも作製にかかる物品費が少なく済んだ。また、国内学会のみであったので旅費も少なく済んだ。一方で、次年度は抗体作製等で物品費が予想以上にかかることが見込まれるため、次年度への繰越とした。
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