研究実績の概要 |
GRK2およびGRK6による、β2ARのリガンド依存的なリン酸化反応を解析し、完全作動薬結合型β2ARが逆作動薬結合型β2ARよりも早くリン酸化されることを示した。また、GRK6はGRK2と比較して、β2AR C tailのうちTM coreに近い部位をより速くリン酸化することを示した。 β2ARとβ-アレスチン1の親和性をSPR法により解析し、非リン酸化β2ARはβ-アレスチン1との結合が検出されない一方で、リン酸化β2ARではKd = 0.2μMで結合することを示した。さらに、リン酸化β2ARに逆作動薬を結合させた際には、その結合親和性がKd > 1 μMに低下することを示した。以上の結果は、C tailはリン酸化依存的に、TM coreは活性化依存的にβアレスチンと結合すること、特にリン酸化が見かけの親和性に大きく寄与することを示している。 完全作動薬、部分作動薬、逆作動薬結合状態リン酸化β2ARと結合した際のβ-アレスチン1の構造変化をNMR法により解析したところ、N,Cローブの界面のプローブにおいて、不活性化型、活性化型に対応するシグナルの両方が検出され、リガンドの薬効度に応じて活性型構造に対応するシグナルの相対強度が増加した。β-アレスチンのC末端のプローブは、リガンドの薬効度によらずその大半が活性型に対応するシグナルとして検出された。以上の結果から、、β2ARの活性化したTM coreとの結合がβ-アレスチンのN,Cローブの相対配置を変化させること、リン酸化C tailとの結合がβ-アレスチンのC末端の構造を変化させることが示された。 β-アレスチン1の構造解析に用いられている構造認識抗体Fab30の影響をNMR法により解析し、Fab30が結合すると、β2AR TM coreとの結合がない状態でも、N,Cローブの相対配置の変化が促進されることが示された。
|