研究課題/領域番号 |
22K15057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江口 智也 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60829050)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 |
研究実績の概要 |
サイトゾルホスホリパーゼであるPLAAT3が膜の損傷を検出するメカニズムについて解析した。PLAAT3をリポソームと混合し、リポソームと上清に分画したところPLAAT3単体ではリポソーム画分へと行かなかった。しかしポア形成ペプチドであるメリチンを添加するとリポソーム画分へ集積した。この実験系においてPLAAT3の変異体を用いてそのメカニズムを解析したところ、PLAAT3のC末疎水性領域を親水性アミノ酸へ置換すると膜への集積が阻害された。このことから疎水性配列が膜への集積に必要であることが確認できた。 さらにPLAAT3のC末領域が親水環境中と疎水環境中においてそれぞれどのような構造を取るのかCDスペクトルを測定し解析を行った。水溶液中における合成ペプチドはコイルおよび軽度の凝集の結果と考えられるベータシート構造を呈していた。一方リン脂質と混合しリポソームに組み込んだ際にはαヘリックス構造の成分が増加した。このことからPLAAT3 C末領域は細胞質中では構造を取らず、脂質膜と相互作用した際にアルファヘリックス構造を取ることが示唆された。共同研究によるMDシミュレーションにおいてもPLAAT3は親水環境中では安定した構造を取らないが、脂質膜内ではアルファヘリックス構造からなる1回膜貫通ドメインを安定して維持することが推測された。以上の結果からPLAAT3は親水環境中と疎水環境中で異なる構造を取りそれが膜損傷の検知に重要である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PLAAT3の損傷膜応答を解析できるin vitroの実験系を立ち上げることに成功し一定の結果が得られたため。また今後も系を発展させ解析を進めていくことが可能であると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションからはPLAAT3がアルファヘリックスから構成される1回膜貫通ドメインを有することが推測された。しかしながらこれが実際に正しいかどうかは検証できていないため、リポソームを用いたin vitroの実験系などでPLAAT3の構造を解析していく。またPLAAT3と同様の性質を示すタンパク質の存在についても探索を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitroの実験において研究が進展したためその実験に注力し一部の細胞生物学的実験を2023年度に繰り越すこととした.
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