研究課題
若手研究
哺乳動物細胞の細胞分裂を可能にするオルガネラ間の脂質動態を遺伝子レベルで解明するために、細胞内の局所的にリン脂質分子ホスファチジルコリン(PC)を蛍光標識し、CRISPRスクリーニングを実施した。PCのデノボ生合成や小胞体-ミトコンドリアのPC輸送に重要な遺伝子群の同定に成功した。PCへの関与が既知の遺伝子だけでなく、これまで見つかっていなかった新規の遺伝子も発見した。
脂質代謝
PCはヒト細胞の総脂質の約半分程度を占める主要な脂質代謝物である。PCの代謝動態の異常は細胞・生体活動の不調と強い関連がある。本研究で同定した遺伝子は、PCが作用する生理/病理プロセスの機序解明の鍵となることが期待される。特に、PC代謝動態はヒトの脂質代謝系における中心的な位置にあるため、脂質代謝異常を伴う疾患・肥満・老化の理解深化・予防に向けて、今後の同定遺伝子の解析が役立つと考えられる。