研究課題/領域番号 |
22K15072
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
草木迫 司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80815316)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イオンチャネル / 膜タンパク質 / 機械刺激 / クライオ電子顕微鏡 / 単粒子解析 |
研究実績の概要 |
METチャネル複合体は内耳有毛細胞の不動毛に局在し、音や体に加わる加速度などによって生じた機械刺激を電気信号に変換する役割を果たすことで、聴覚や平衡感覚の受容に関与している。複数のタンパク質がMETチャネル複合体の構成因子として知られており、TMCタンパク質(TMC1/TMC2)がイオン透過経路を形成し、膜タンパク質であるTMIEやLHFPL5、細胞内因子であるCIB2/CIB3が補助サブユニットとしてMETチャネルの活性を調節すると考えられている。しかし、METチャネル複合体を構成する各サブユニットがどのようにMETチャネル活性を調節するのか、そして機械刺激によってどのようにチャネルが開閉するのかという核心的な問いについては未だ謎に包まれている。本年度はTMCとCIBの複合体サンプルの発現系・精製系を確立し、ナノディスク再構成の条件を最適化して、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により、高分解能の密度マップを取得した。得られた密度マップによりTMC-CIB複合体の構造決定に成功し、チャネル開閉メカニズムに関する知見を得た。得られた構造に基づき、今後機能解析を進める。さらにTMIEやLHFPL5などの補助サブユニットを含めた複合体形成の条件検討を進め、複数のMETチャネル複合体の形成条件を見出した。今後それらの立体構造を決定して、各サブユニットによるMETチャネル活性の制御メカニズムを解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
TMC-CIB複合体の構造決定に成功して、チャネル開閉メカニズムに関する知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた構造に基づいて機能解析を進める。他のサブユニットを含むMETチャネル複合体の構造決定を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
決定した立体構造に基づき機能解析を行う必要があるため。また、複数の構成因子からなるMETチャネル複合体の構造を決定するため。サンプル調製に必要となる培地や試薬・脂質、クライオ電子顕微鏡利用料に使用する。
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