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2022 年度 実施状況報告書

4量体キネシンとTPX2の一分子構造機能解析による紡錘体超構造の形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15077
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

斎藤 慧  国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (10908007)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード微小管 / キネシン / TPX2 / 紡錘体
研究実績の概要

TPX2は細胞分裂期に働く微小管結合タンパク質で、モータータンパク質のキネシンの機能制御に関わり、さらに紡錘体の大きさと形態に対しても影響を及ぼすことが知られる。本研究課題では、TPX2およびキネシンが集積することで紡錘体に特徴的な微小管アレイが自律的に生まれる機構の解明を目指して、ヒト培養細胞から精製したTPX2を用いて、電子顕微鏡、高速AFMおよび全反射顕微鏡によるイメージングで構造解析した。
構造解析では、TPX2単量体の構造動態を高速AFMにより可視化することができた。さらに微小管上でTPX2がオリゴマーを形成する様子の詳細を電子顕微鏡で観察することができた。高速AFMと電子顕微鏡観察を組み合わせるアプローチにより、今まで知見が極めて乏しかったTPX2の分子構造についての理解が大きく前進した。さらに全反射顕微鏡を用いた蛍光イメージングにおいては、TPX2が微小管を架橋するときの配向に大きなバイアスを加えることが分かった。今回微小管に結合したTPX2の構造と微小管架橋特性が明らかになったことで、紡錘体形成においてTPX2が多数の微小管を組織化する仕組みについて、分子構造レベルで理解する可能性が開けた。
また、微小管のより大域的なネットワーク構造にTPX2が及ぼす効果について調べるために、カエル卵抽出液にTPX2を添加した際の微小管動態をイメージングする系を整えた。先行研究と同様に、モータータンパク質のダイニンを阻害した条件においては扇状の微小管超構造が形成されることが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TPX2の微小管結合特性について、構造解析と蛍光イメージングの双方の実験で新奇な知見を得ることができた。本研究課題の達成に向けて当初の予期を超える成果が得られたためこれらの実験を優先的に進めた。一方、卵抽出液を用いてのより大域的な微小管超構造のイメージングについては、実験系のセットアップと先行研究の確認に留まった。

今後の研究の推進方策

今後は、まずTPX2の微小管結合および架橋特性について現在のアッセイシステムでの実験と解析をさらに進めて知見を固める。さらに、微小管超構造にTPX2が及ぼす効果については、卵抽出液を用いたアッセイを発展させて、TPX2とキネシンの相互作用の影響を評価する予定である。これらのアッセイで得られる知見を組み合わせることで、本研究課題の到達目標である紡錘体超構造機構の形成機構におけるTPX2とキネシンの働きの解明につながると期待される。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗状況を鑑みて、予定していた設備備品費を消耗品に充てた。次年度使用額と当初予定分とあわせて設備備品を購入の予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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