Stx17のストップコドンの読み飛ばし頻度を測るレポーターコンストラクトを作製し、Stx17のストップコドンの読み飛ばしが高頻度に起こる組織を調べた。その結果、神経細胞ではStx17のストップコドンが高頻度に起こり、延長型Stx17が高発現していることが明らかになった。 通常型Stx17と延長型Stx17の細胞内局在を調べたところ、通常型と比較して、延長型はミトコンドリア、ER、ゴルジ体などのオルガネラに多く局在していることが明らかになった。この結果と一致して、細胞分画を行った際、通常型と比較して延長型Stx17は膜画分に多く存在することが明らかになった。 延長型Stx17の結合タンパク質を調べたところ、通常型とは異なるSNAREパートナーと結合することが明らかになった。 延長型Stx17を特異的にノックアウトしたショウジョウバエを作成し、表現系を解析した。致死性・運動機能・組織の形態などに差があるか検討したが、いずれも明らかな表現系は確認されなかった。Stx17はオートファゴソームとリソソームの融合に働くSNAREタンパク質であるので、延長型Stx17のオートファジー機能についても検討した。延長型Stx17ノックアウト個体はオートファジーのカーゴタンパク質が蓄積しておらず、通常型と延長型はオートファジーの機能に明らかな違いがないことが明らかになった。 今後は神経系が司る機能に着目し、Stx17のストップコドンの読み飛ばしの生物学的意義を明らかにしたい。
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