研究課題/領域番号 |
22K15101
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
武田 英吾 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (20836366)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オートファジー / 選択的オートファジー / プロテオーム解析 / 出芽酵母 / ストレス応答 |
研究実績の概要 |
私たちは電子顕微鏡解析により窒素源飢餓時に合成されたグリコーゲンはオートファジーを介して液胞に送られにくいことを確認していた。一方で、24時間を超える長期の窒素源飢餓にはグリコーゲンは徐々に液胞にオートファジーを介して送られることがグリコーゲンに結合するタンパク質Gsy2-GFPを用いたGFPクリベージアッセイにより示唆されていた。 本年度の研究では、オートファジーを介した液胞へのグリコーゲンの輸送が時間依存的に変化することを確認するため、窒素源飢餓時の出芽酵母の電子顕微鏡解析を行った。その結果、処理後4時間の細胞ではオートファジーを介して液胞に送られたオートファジックボディ内にグリコーゲンが見られなかったのに対して、処理後48時間後ではグリコーゲンを含んだオートファジックボディが複数確認された。また、その際に細胞質に確認されたほとんどのオートファゴソームにグリコーゲンが含まれていたため、窒素源飢餓が進むとグリコーゲンがオートファジーを介して輸送されやすくなることが示された。この結果は私たちが見つけたオートファジーレセプタータンパク質Atg45の発現と相関している。 また、長期の窒素源飢餓条件においてAtg45欠損細胞では、野生型と比較して液胞に送られたグリコーゲン量が著しく減少したが、多くの選択的オートファジーに関与する足場タンパク質Atg11の欠損細胞ではそのクリベージの減少はわずかであった。そこで非選択的オートファジーの活性をPgk1-GFPのクリベージアッセイにより確認したところ、Atg11の欠損細胞では窒素源飢餓時にPgk1-GFPのクリベージがGsy2-GFPのクリベージの減少と同様の割合で減少したことから、Atg11はグリコーゲンの輸送に直接関与するわけではなく、オートファジー全体の活性が減少していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グリコーゲン分解のマーカーとして用いていたGsy2-GFPを用いた結果が電子顕微鏡解析においても確認され、Gsy2-GFPを用いてグリコーゲンの液胞への輸送を解析することが有効であることが示されたため、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
グリコーゲンのどのような性質がオートファジーを免れるのに寄与しているのか明らかにするため、グリコーゲンの性質が変化するような変異体の作成を試みる。また、オートファジーを介して分解されにくい大きな人工構造体に関しても大きさや流動性を変化させるなどしてオートファジーを介した液胞への運ばれやすさを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年度に研究代表者が異動することがわかっていたため、移動先において実験環境を整えるための経費として使用するために消耗品類の購入を当初の予定よりも減少させた。使用計画としては2024年度の異動先における実験設備の増強に用いる。
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