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2022 年度 実施状況報告書

細胞間相互作用を介した気管間充織の細胞多様化獲得プロセスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15111
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

中山 彰吾  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (50917747)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード細胞多様性 / 気管間充織 / 細胞間相互作用 / scRNA-seq
研究実績の概要

気管組織は、軟骨組織や平滑筋組織などの間充織により支持されることで適切な管腔構造を維持している。気管軟骨は特徴的な縞状のパターンを形成することが知られているが、これら形態パターンを生み出すメカニズムはいまだに明らかにされていない。本研究では、気管間充織のパターニング機構を理解する前段階として、気管間充織の細胞多様化獲得プロセスの解明を目指した。経時的な気管組織のシングルセルトランスクリプトーム解析により、発生初期で現れる気管軟骨前駆細胞、線維芽前駆細胞を同定した。また、軟骨細胞のマーカーを発現するSox9は陽性だが、Sox6などの他の軟骨細胞のマーカーが陰性である、Sox9陽性細胞を見出した。細胞系譜を推定するSlingshotにより、Sox9陽性細胞が軟骨前駆細胞、線維芽前駆細胞へと分化できる可能性が示唆された。そこで、Sox9creERT2マウスを用いて、Lineage tracing実験を行い、発生初期で現れるSox9陽性細胞が軟骨・線維芽前駆細胞に分化することを確認した。さらに、細胞間相互作用を推定するCellChatにより、分化誘導に重要な候補因子を見出した。その中から、Hedgehog(HH)シグナルに着目し、Ex vivo下でのHHシグナルの抑制やE11.5で上皮特異的にSHHをノックアウトしたマウスの解析などにより、Sox9陽性細胞の気管軟骨前駆細胞への分化にHHシグナルが必要であることを見出した。一方で、Ex vivo下で、HHアゴニストを加えたところ、 軟骨前駆細胞領域の割合は有意に増加しなかったことから、HHシグナルのみでは分化誘導に不十分であることが示唆された。そこで、現在、気管軟骨前駆細胞への分化に重要な他の因子を探索している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Sox9creERT2マウスを導入し、当初予定していたSox9陽性細胞のlineage tracing実験を順調に進めることができた。また、分化に重要なシグナル経路の候補因子をCellChatにより見出し、Ex vivo下で阻害剤の検討を行い、Hedgehogシグナルの阻害が気管軟骨前駆細胞の分化を抑制することを見出した。そこで、Nkx2.1creERTマウスとSHH floxマウスを組み合わせることで、呼吸器上皮特異的かつ時期特異的にSHHのノックアウトを行った。結果として、Ex vivo実験と同様に、In vivoでもHedgehogシグナルの抑制により、気管軟骨前駆細胞への分化を抑制させることが確認された。

今後の研究の推進方策

これまでに、Hedgehogシグナルが気管軟骨前駆細胞への分化に必須であることが示された一方で、Hedgehogシグナルのアゴニストを加えても、軟骨前駆細胞領域の割合は著しく増加しなかった。このことから、Sox9陽性細胞から気管軟骨前駆細胞への分化過程において、Hedgehogシグナルのみでは不十分であることが示唆された。現在、CellChat解析により候補となるシグナル経路を幾らか同定しており、今後それら経路の阻害剤や活性化剤を検討することにより、発生過程における気管間充織多様性獲得機構の解明を目指す。

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公開日: 2023-12-25  

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