研究課題/領域番号 |
22K15165
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
自見 直人 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (50866720)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 眼 / 多様性 / 進化 |
研究実績の概要 |
ボウセキウロコムシ科の系統関係解明に向けて調査船およびSCUBA潜水による調査を行い、各属のOTUを集めることに成功した。そのうちのいくつかは未記載種であるため現在記載を進めている。それぞれのミトコンドリア全長の配列決定を行ったが、いくつかのOTUにおいてうまくいかなかったため現在そのやり直しを行っている。 眼の構造については解析がまとまってきており、環形動物では通常見られないレンズ眼構造がどのように段階的に進化してきたかをMicroCT・切片を元に理解することができた。 従来の方法である4遺伝子領域を用いた系統解析では眼の進化を解明するに足る系統樹を推定することはできなかったため、現在ミトコンドリア全長配列を各OTUにおいて決定し直すことでこれを解決しようとしている。次世代シーケンサーを用いてショットガンシーケンス法により配列決定を行ったが、標本の固定状態によってうまくいくものといかないものがあり、いかないものについては再度標本の採集を行っているところである。 将来的にはボウセキウロコムシ類が眼の進化のモデル生物となるような基盤創りをしていきたいと考えているため、系統樹の頑強性は重要である。また、発生段階を追うことで眼の形成過程を追うことができるため、飼育系列が確立できないかの試行をしており、飼育に適した種を見つけることには成功した。あとは世代を回すことができるようになるように試行錯誤する段階である。 現在これらの成果を元に論文化を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調にOTUを集めることに成功した。調査の過程で得られた未記載種については記載を進めた。いくつかについては標本状態が悪いことから採集し直す必要があるが採集することができる場所は把握しているため問題ない。眼の構造についての解析もほぼデータを取り終えることができた。 最終年度に向けて成果をまとめつつ、足りないデータを補っていく段階へと移行したい。
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今後の研究の推進方策 |
構造および系統解析に向けてのデータ収集は順調のため、成果をまとめつつ足りないデータを補完していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
11月からの4ヶ月間南極地域観測隊に参加していたためインターネットに接続することができず、科研費の執行が困難な状況であった。そのため8ヶ月間の間において執行する必要性のあるものについては執行し、そこで得られたデータを参加中にまとめていた。 8ヶ月間の間に執行できなかった内容については次年度使用額とし本年度において解析を進めることにした。 翌年度分と合わせてデータ解析および補完用のデータ取得、それらをまとめた論文化に使用する。
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