研究課題/領域番号 |
22K15175
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
疋田 弘之 京都大学, 化学研究所, 助教 (40913926)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 巨大ウイルス / ウイルス間相互作用 / トランスクリプトーム解析 / ロングリードシークエンス |
研究実績の概要 |
2003年に報告された巨大ウイルスは細菌に匹敵する大きさのゲノムと粒子を持ち、ウイルスは微小な存在であるという考え方が支配的だった生物学に大きな衝撃を与えた。以降、多数の巨大ウイルスが様々な環境から単離され、ウイルス粒子の構造やゲノム構成が実に多様であることが明らかになった。一方、巨大ウイルスが感染細胞内で示す挙動に関する理解は大きく遅れている。そこで、本研究では様々な巨大ウイルスを用いて、細胞レベルでの感染現象を解析し、その多様性を明らかにするとともに、ウイルス間相互作用にまで踏み込むことを目指している。本年度は、主に巨大ウイルス感染が細胞内でどのように進行するかをモニターするための実験系の構築に取り組んだ。具体的には各ウイルスのDNA量を分子生物学的に定量する系を確立し、感染進行のモニターを可能とした。また、この系を用いて、一部のウイルスについて、ウイルス間相互作用もモニターできることを示した。さらに、一部のウイルスについては経時的なRNA-seqを行い、より網羅的に感染進行を解析するためのデータを得た。これらと並行して、巨大ウイルスの多様性をより詳細に明らかにするために、新規ウイルスの単離も試みた。その中で、新規ウイルスの単離、およびそれらのゲノムレベルでの多様性解析を効率的に行うためのパイプラインを構築し、その有用性について記した論文をプレプリントサーバーにアップロードした。なお、これらの新規ウイルスの単離は本研究計画を発展させる上で極めて有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を行う上で重要な足がかりとなる、分子生物学的な手法でウイルスの感染進行をモニターする手法の開発に成功した。また、当初研究後半に計画していたウイルス間相互作用に関しても、一部先行して行うことができ、一定の成果を得ている。さらに、当初計画からは縮小したものの、網羅的な比較解析に足るトランスクリプトームデータも取得済みである。これらに加えて、当初計画では予期していなかった新規のウイルスの単離・ゲノム解析に関する技術の進展も得ることができ、研究計画をより発展させることができた。以上から、おおむね順調に計画は進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始当初は巨大ウイルスが感染時にどのような多様性を示すのかについて十分な知見がなかったため、記載的な研究計画を立案した。しかし、本年度の研究を通じて、その多様性の一端を明らかにすることができた。その中で、学問的に重要かつ興味深いと思われる結果を複数得たため、今後はこれらの現象を軸に、詳細な研究を行うことを予定している。なお、当初計画に含まれていた研究内容は、上述の現象を明らかにするための研究内容を行う上で、避けて通れないものがあり、今後も必要に応じて継続的に取り組む予定である。また、本年度を通じて、新規ウイルスの単離が本研究計画に極めて有益であることが明らかになったため、今後も継続して、これを行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中に新たな外部資金を獲得することができ、汎用消耗品にかかる費用を節約できたため。
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