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2022 年度 実施状況報告書

迷走神経による低浸透圧感知メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K15223
研究機関新潟大学

研究代表者

市木 貴子  新潟大学, 医歯学系, 助教 (30778519)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード肝門脈 / 低浸透圧感知メカニズム
研究実績の概要

適切な飲水量の調節には、飲水行動の開始制御だけでなく、抑制や終了の制御も重要である。飲水後の持続的な飲水抑制には、消化管での低浸透圧感知が必要不可欠であることが示唆されてきたが、そのメカニズムは不明な点が多い。
申請者は、消化管の感覚受容に主要な役割を果たす迷走神経の活動をリアルタイムで観察するために、in vivoカルシウムイメージングの実験系を確立し、腸管内への水灌流によって特異的に反応する神経群を発見した。しかし、これらの神経群が活性化するメカニズムは解明できていなかった。申請者は肝門脈を支配する迷走神経が、これらの感知に関与しているという重要な知見を得た。そこで本研究では、肝門脈を支配する迷走神経の低浸透圧感知メカニズムを解明することを目的とし、実験を行った。
申請者はすでに、肝枝を選択的に切除すると水による低浸透圧刺激がほぼ消失することを確かめたが、肝枝の切除による周辺臓器への非特異的な影響も確認する必要がある。コントロール実験として、腸管への機械的刺激に対する迷走神経応答には変化が見られないことを確かめた。さらに、肝枝は肝門脈のみならず膵臓、十二指腸も支配していることから、肝門脈特異的な反応を確かめるために、膵臓、十二指腸部位のみのdenervationを行い、反応に変化が見られないことを確認した。また、肝門脈へ低張食塩水を注入しても迷走神経の応答は見られないことから、消化管ホルモンの関与を想定し、腸管内の水分吸収や感知に関与が示唆される各種ホルモンを肝門脈へ注入し、迷走神経の応答が見られるか否か確認した。その結果、Vasoactive intestinal peptide (VIP)が低浸透圧感知に寄与することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

肝門脈を支配する迷走神経の低浸透圧感知メカニズムの一つとして消化管ホルモンの関与を想定し、すでにVasoactive intestinal peptide (VIP)が低浸透圧感知に寄与することを明らかにした。

今後の研究の推進方策

消化管ホルモンが肝門脈において各種受容体を介して作用しているのかどうかを調べるために、受容体のアンタゴニストを投与した際の迷走神経の応答を確認する。

次年度使用額が生じた理由

旅費に30万円計上していたが、海外出張が見送りとなったため、次年度繰り越しとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Sensory representation and detection mechanisms of gut osmolality change2022

    • 著者名/発表者名
      Ichiki Takako、Wang Tongtong、Kennedy Ann、Pool Allan-Hermann、Ebisu Haruka、Anderson David J.、Oka Yuki
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 602 ページ: 468~474

    • DOI

      10.1038/s41586-021-04359-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 消化管における飲水感知メカニズムの解明2022

    • 著者名/発表者名
      市木貴子、岡勇輝
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 40 ページ: 1436~1439

    • DOI

      10.18958/7011-00003-0000168-00

  • [学会発表] 迷走神経による消化管内の浸透圧感知メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      市木貴子
    • 学会等名
      日本生理学会第100回記念大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 消化管における低浸透圧感知メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      市木貴子
    • 学会等名
      第6回感覚フロンティア研究会シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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