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2023 年度 実施状況報告書

神経細胞接着分子OCAMは副嗅覚神経回路の可塑的変化過程にどのように関与するか

研究課題

研究課題/領域番号 22K15228
研究機関高知大学

研究代表者

藤田 博子  高知大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (40322705)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード嗅覚コミュニケーション / 個体認識 / ブルース効果 / 副嗅覚系 / 可塑的変化 / 分子基盤
研究実績の概要

動物行動学でブルース効果として知られている妊娠雌マウスによる交配雄フェロモンの刷り込み学習(交配雄とは異なる系統の雄の匂いに曝露すると流産する)は、この現象の基盤となる副嗅球神経回路の細胞、分子レベルでの可塑的変化過程の詳細がまだよくわかっていない。
本研究の目的は、アメフラシやショウジョウバエで記憶学習に関与が報告されている神経接着分子apCAMや Fasciculin IIに類似するホモログ(相同遺伝子)である神経接着分子Olfactory Cell Adhesion Molecule(OCAM)が関与して神経回路にダイナミックな変化を引き起こすとの仮説を設定し、細胞及び分子レベルでの副嗅球神経回路の可塑的変化過程を明らかにすることである。
本年度は昨年に引き続き副嗅球スライスにて電気生理実験を行い、OCAM分子の有無による電気生理的な特性の変化を調べた。令和5年度に行ったOCAM遺伝子欠損マウスを用いた記憶モデルの一つであるLong Term Potentiation (LTP)実験では、誘導期の前期長期増強に異常があり、ポストシナプス(顆粒細胞)側に異常がある可能性が示唆された。本年度はLTP誘導時の刺激と薬理学的修飾の影響を検討したが、結論まで至らず、継続して検討することとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画に上げた内容の個々の実験については概ね順調に進んでいるが、一部解析とその結果をもとに行う実験がやや遅れ気味である。
OCAM遺伝子欠損マウスを用いたLong Term Potentiation (LTP)実験では誘導期での異常を認めたため、本年度は、より強い誘導条件や薬理学的修飾により、OCAMの機能欠損が補償される可能性を検討した。LTP誘導期前期長期増強および誘導された後のLTPの維持相の変化への影響を現在、継続的に検討中である。

今後の研究の推進方策

令和5年度からの継続分にあわせて下記の実験を進める。
①形態学的手法にて副嗅覚系でのOCAMの発現細胞と発現時期の解析を行う。活動依存的な変化に着目して、電気生理実験のスライス標本で電気刺激後の発現の変化も検討する。
②行動実験でブルース効果にOCAMが関与しているかを調べる。また、行動実験で検出が困難な場合は、神経内分泌変化や免疫組織化学的変化での検出を行う。

次年度使用額が生じた理由

昨年度からの電気生理実験機器トラブル対応が継続しており、周期的に中断を余儀なくされているため、本年度の実験の継続と結論は次年度引き続き行う。また、これらのシステムが他の実験系の試料作製等の前提になっているため、形態学的手法にて予定している副嗅覚系でのOCAMの活動依存的な発現細胞と発現時期の解析は次年度に行う。このため総計が高額になる抗体試薬等の消耗品分を次年度に使用する。

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公開日: 2024-12-25  

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