研究課題/領域番号 |
22K15229
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
杉村 岳俊 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60812526)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カハール間質核 / 前庭小脳 / 神経積分器 / 視線保持 / 狂犬病ウイルス / 舌下神経前位核 / 内側前庭神経核 |
研究実績の概要 |
視覚情報を適切に脳に取り込むためには、視線を保持することで視覚対象を網膜上で静止させる必要がある。視線の保持には脳幹の神経積分器が主とした役割を担うが、それに加えて神経積分器と前庭小脳との神経回路もその機能に重要である。水平系の神経積分器である舌下神経前位核から前庭小脳へは直接投射していることが明らかにされているが、垂直系の神経積分器であるカハール間質核(INC)から前庭小脳への投射経路の詳細は明らかにされていない。本研究では、INCと前庭小脳との神経経路を明らかにすることを目指している。これまでの我々の研究よりINCは前庭小脳に直接投射していないことを示唆するデータを得ているので、本年度は間接的なINC-前庭小脳経路の解剖学的な知見を得ることを目的とした。狂犬病ウイルスを使用したトランスシナプス標識法を用いて、ラットのINCから前庭小脳への経路は舌下神経前位核または内側前庭神経核を経由している可能性について調べた。その結果、前庭小脳に投射する舌下神経前位核および内側前庭神経核のニューロンから、狂犬病ウイルスが一つシナプスを超えて逆行性感染したニューロンがINCで観察された。これらのニューロンの分布を調べたところ、INCの尾側よりも吻側に多く存在した。本研究の結果とこれまでの我々の結果より、INCから前庭小脳へは舌下神経前位核および内側前庭神経核を経由した間接的な神経経路が構成されていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の結果より、間接的なカハール間質核-前庭小脳経路の解剖学的な知見を得ることができた。本研究課題の重要なテーマの一つを明らかにすることができた。この成果を3月に学会発表した。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
我々が最近発見した小脳虫部や半球部に投射するラット舌下神経前位核の特徴的なニューロン群について調べる。それらのニューロンの種類や特性を電気生理学的、形態学的、解剖学的な手法を用いて明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進んだため予定よりも少ない消耗品で研究できたので、また当初計画していた研究機器の購入を止めたので、次年度使用額が生じた。この次年度使用額を用いて、本研究を継続・発展させるために必要な試薬や器具を購入する計画である。
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