研究課題/領域番号 |
22K15235
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
堤 新一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 副チームリーダー (20862676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機能的トレーシング / 2光子カルシウムイメージング / 視床-前頭野投射 / 自閉症スペクトラム障害 / 認知学習 |
研究実績の概要 |
1.認知機能に関わる視床-前頭前野投射の同定:視床-前頭野(FrA)投射に対し、神経活動依存的に発現するE-SAREプローブを用いた機能的トレーシングを行った。ホームケージコントロール群では視床VL核(運動関連視床核)-FrA投射が主に活性化していたのに対し、認知タスクを学習した群では、視床VM核・Po核(連合視床核)-FrA投射がより活性化していた。この結果は、認知学習により視床-前頭野機能回路が再編成されることを示唆する。 2.前頭前野に投射する視床軸索の2光子カルシウムイメージング:遅延付きgo/no-goタスク試行中のマウスに対し、FrA領域における視床軸索活動の2光子カルシウムイメージングを行った。視床軸索活動の検出アルゴリズムはまだ確立していないが、予備的な解析では、主に音刺激や報酬に対して視床入力が入ることが示唆された。 3.精神疾患モデルにおける視床―前頭前野投射異常の同定:自閉症スペクトラム障害モデルマウスCHD8 hKO系統マウスについて、視床軸索の2光子カルシウムイメージングおよび機能的トレーシングを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.認知機能に関わる視床-前頭前野投射の同定:前頭野FrAに投射する視床核が、認知学習により、運動関連核から連合核に切り替わるというデータを得た。 2.前頭前野に投射する視床軸索の2光子カルシウムイメージング:視床軸索の慢性2光子カルシウムイメージングに成功した。 3.精神疾患モデルにおける視床―前頭前野投射異常の同定: CHD8 hKO系統マウスについて、視床軸索の2光子カルシウムイメージングおよび機能的トレーシングに着手した。
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今後の研究の推進方策 |
1.認知機能に関わる視床-前頭前野投射の同定:取得したサンプル数が少ないので、より多くのデータを取得し、妥当性を確認する必要がある。 2.前頭前野に投射する視床軸索の2光子カルシウムイメージング:軸索活動を検出するアルゴリズムが未完成であるため、これを完成させ、最適化を行う。視床入力のタイミングと学習との関係について解析を行う。 3.精神疾患モデルにおける視床―前頭前野投射異常の同定:CHD8 hKO系統マウスにおいて、視床-前頭野投射の再構成が阻害されているかに注目して解析を行う。また、視床-前頭野投射軸索の活動が正常マウスとどのように異なるかを解析する。
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