今後の研究の推進方策 |
亜鉛試薬を開発することで大幅な安定性の改善に成功しているが、未だに反応効率が低下すると亜鉛試 薬の分解が競合する課題が残っている。また、亜鉛試薬の原料合成に数ステップを要する。2年目となる本年度は、「A.室温で分解しない程度までの安定化」「B.市販品から2 ステップ以内での亜鉛試薬の調整」の達成を目指す。 さらに、上記で見出した含フッ金属種を用いて不斉反応を開発する。含フッ金属種はラセミ体の状態で生成されるため、効率的な不斉反応の開発には含フッ素金属種のラセミ化とそれに伴う動的速度論的光学分割が必要である 。そのため、トランスメタル化で生成する活性種のラセミ化が早い第四周期遷移金属触媒(Fe, Co, Ni, Cu)を検討する。特に、申請者のこれまでの検討で様々な知見が得られている銅を中心に検討し、光学活性なモノフルオロアルカンの合成を達成する。 並行して得られた化合物の配座をNMRおよびDFT計算によって明らかにし、フッ素導入が化合物の配座に与える影響をまとめる。
|