研究課題
タンパク質分解誘導薬(proteolysis-targeting chimeras, PROTACs)は、新たな創薬モダリティとして期待されている。PROTACの創製には、標的タンパク質の適切なリガンドが必要であり、かつ数多くの最適化を要する。そのため、簡便に設計・合成可能かつ幅広い標的に適応可能なPROTACの開発基盤技術が強く求められる。本研究では、ペプチドのステープル化を基盤としたペプチド性PROTACの開発により、効率的に広範に適用可能なPROTACの創製を実現する革新的分子技術を確立することを目指す。本年度は、リシン特異的脱メチル化酵素1(LSD1)を標的タンパク質とし、ペプチド性PROTACの創製研究を展開した。LSD1は種々のがん細胞において高発現しており、がん細胞の増殖に関与していることから、LSD1の阻害や分解誘導はがんに対する有効な治療手法として期待される。また、LSD1は転写因子SNAIL1と相互作用し、その相互作用阻害は抗がん活性を示すと期待されている。そこで、SNAIL1の配列を基盤とした新規LSD1分解誘導ステープルペプチドを設計・合成し、そのLSD1分解誘導活性を評価した。まず、ペプチド配列に組み込む数種類の非天然アミノ酸のFmoc保護体の合成およびペプチドのステープル化に用いる種々架橋鎖の合成を行った。続いて、非天然アミノ酸を組み込んだ数種類のペプチドを合成し、ステープル化するアミノ酸残基の位置および架橋鎖を種々変換した複数のステープルペプチドの合成を達成した。さらに、合成したステープルペプチドをHeLa細胞に処理し、ウェスタンブロッティングによりLSD1分解誘導活性を評価した結果、合成したペプチドはLSD1分解誘導活性を持つことが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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