研究課題/領域番号 |
22K15255
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山本 耕介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (40785789)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 含窒素複素環 / ケテン / 環化反応 |
研究実績の概要 |
多官能性複素環の新規合成法開発は、医薬リード探索や構造活性相関研究に大きく貢献することが期待される重要な研究課題である。環状エナミノンは生物活性物質や天然物中に広範に見られる部分骨格であると共に、多様な化学修飾が可能な興味深い多官能性複素環である。アルファ位にイミノ基を有するケテンの環化反応は、環状エナミノンの効率的構築法となりうるが、温和かつ簡便なイミノケテン生成法は未開拓である。本研究では、合成容易な含窒素複素環をケテン前駆体として用い、脱窒素過程を鍵とした環化反応による多様な環状エナミノン類の簡便合成法開発を目的とする。以下に本年度得られた研究成果を記す。 基質として電子求引性基を有する含窒素複素環および不飽和結合を有する化合物を用いて反応条件の最適化を行った。種々の遷移金属触媒や塩基および溶媒等の反応条件を精査した結果、目的とする環化成績体を高収率にて得ることに成功した。興味深いことに、本反応は遷移金属触媒を用いない条件においても進行した。最適条件にて、電子的効果の異なる置換基を有する基質を用いて基質適用範囲を調査した。その結果、所望の反応が円滑に進行し、環化成績体が得られることを見出した。反応収率に改善の余地が残されているものの、反応条件をチューニングすることで改善可能であると期待される。今後は、本反応の基質一般性に関する詳細な調査を行うとともに、得られた新規環状エナミノン類を基質として有用化合物類縁体への誘導を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応条件の最適化において再現性に問題が生じたため、詳細な検討を行った。その結果、当初予定していた以上の時間を必要としたものの、反応効率に影響する重要なファクターを見出し、再現性が担保された反応条件を確立することに成功した。また、最適条件下いくつかの基質に対して基質適用範囲を拡大することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに最適化された反応条件を基盤として、基質適用範囲に関する詳細な検討を行う。具体的には種々の置換基を有する含窒素複素環や不飽和結合を有する芳香族化合物および脂肪族化合物を検討する。また加熱を必要としない反応系の確立を目指し種々の条件検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
信頼性の高い反応条件を確立するために、当初予定していた以上の条件検討が必要となったため、次の段階で必要となる物品の購入に進むことができず次年度使用額が生じた。次年度使用額はR5年度使用額と併せて、当初計画していた有機試薬や無機試薬、ガラス器具等の消耗品購入費として使用する。
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