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2023 年度 実施状況報告書

高濃度タウリン曝露時における生体内分子変動解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K15266
研究機関日本大学

研究代表者

松下 祥子  日本大学, 理工学部, 助教 (10806079)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードタウリン / 生活習慣病 / 代謝物
研究実績の概要

タウリンは、神経伝達機能や浸透圧の調整に重要な役割りを担っている含硫アミノ酸様化合物である。水溶性が高く、容易に尿中へ排泄されるため、過剰摂取による有害事象がほとんど報告されていないことから、安全性の高い栄養素として食品や栄養ドリンクなどの機能性飲料に含まれている身近な栄養素の一つである。しかし、近年、高濃度のタウリンを曝露することにより、発生過程の未熟な神経細胞数の減少や形態変化、グリア細胞による軸索形成不全が報告され、タウリン接種時において適正量の摂取を心がける必要性が示唆された。そこで、本研究では高濃度タウリン曝露時における生細胞内分子変化を解析し、安全性の高いタウリンの摂取および生体内変化を簡易に解析可能な手法の確立を目的として研究を進めることとした。
昨年度までは、神経細胞および膵臓β細胞を培養し、高濃度タウリン曝露による形態変化や代謝物解析、タンパク質発現解析を行った。また、低分子代謝物の分布解析手法の1つとしてイメージング質量分析を用いた測定法の開発を行い、新規マトリックス調製条件やその評価を行った。その結果をThe 14th International Symposium on Mass Spectrometry in the Health and Life Sciencesにて発表した。
当該年度は、タウリンの取り込み阻害剤を用いて実験を行った。さらに、昨年度発表した新規マトリックスによる評価結果を新たにまとめ、バイオメディカル分析科学シンポジウムにて発表した。また、異なる神経変性疾患モデル細胞に対して高濃度タウリンを添加し、細胞内のタンパク質発現変化を検出した。これらをまとめて、第96回生化学会および第10回国際タウリン研究会にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に引き続き、細胞の形態評価および代謝物・タンパク質解析の網羅的解析、さらに、それらの分布解析について、おおよそ順調に進展した。また、タウリンの取り込み阻害剤を用いた細胞内成分の変動も解析できた。
当初の計画では2年間での実施を予定しており、その計画からは若干遅れている。しかし、研究内容は着実に進められており、おおむね順調に進展していると考えている。そのため、引き続き、研究計画に沿って進めていく予定である。

今後の研究の推進方策

次年度は、本年度実施できなかった生体内高分子の簡易分布解析法の開発とタウリン修飾体の解析を行う予定である。簡易分析法の開発においては、検出感度の向上が重要である。そこで、本年度までに開発した新規マトリックスの成果を活用したいと考えている。また、複数の細胞種を用いて、タウリンの取り込み阻害実験を継続して行う予定である。さらにタンパク質の網羅的解析の結果を踏まえて、それらのタンパク質阻害実験も検討する。そして、得られた知見を学会発表や論文として発表することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

概ね順調に研究は進んでいるものの、当初の計画通りに進捗することは難しかった。特に、公務の増加と実施期間の不足が原因と考えられ、消耗品の予算に残額が生じた。また、キャピラリー電気泳動装置の修繕ができなかったことから、予定通りに予算を使用できなかった。
次年度において更なるデータの積み重ねが必要であると考えている。差額は研究を推進するためのタンパク質分析の前処理や分析時の消耗品の購入に必要な予算として用いる。また、研究の成果報告のための旅費や参加費として用いることを考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] タウリン添加による神経細胞中リン酸化TDP-43の発現量解析2024

    • 著者名/発表者名
      伊藤 志帆、松下 祥子、林 亜紀、鈴木 佑典
    • 学会等名
      第10回国際タウリン研究会 日本部会学術集会
  • [学会発表] サンドローズ状酸化亜鉛を用いた表面支援レーザー脱離イオン化-イメージング質量分析2023

    • 著者名/発表者名
      松下祥子、林亜紀、遠山岳史、鈴木佑典
    • 学会等名
      バイオメディカル分析科学シンポジウム(BMAS)
  • [学会発表] 高濃度タウリンおよびAβ曝露による神経細胞中タンパク質の変動2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 志帆,松下 祥子,林 亜紀,鈴木 佑典
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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