高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は汎用性のある分析法であり、現在、食品や医薬品など幅広い分野における化合物の定量に用いられている。しかしながら、HPLCの欠点として、定量用標準品を入手できない化合物に対して定量できないことが挙げられる。そこで、本研究では、定量用標準品が入手困難な化合物であるカンナビジオール(CBD)を対象とした簡便かつ汎用性のあるトレーサビリティな定量法、シングルリファレンス(SR )-HPLC法を開発することを試みた。まず、分析対象化合物に最適なSRを入手するため、リファレンスデザイン(DoR)を中心に研究を遂行した。DoRでは、分析対象化合物について吸収極大に関与する化学構造に着目し、その吸収帯に影響を及ぼさない、かつクロマトグラフィーの保持時間を調節可能な官能基(アルキル基)を導入することを検討した。CBDの化学構造式の2か所のヒドロキシ基に注目し、これらを有機合成によりメトキシ化することを試みた。その結果、生成物は高純度なメトキシ化したCBD(純度95%以上)であることを同定した。次に、CBD以外の主要なカンナビノイド類も対象化合物に追加し、HPLC同時分析を試みた。これら化合物の構造は類似性が高いため、様々な分離カラムを比較して、いずれのカンナビノイド類も分離可能なHPLC分離条件を検討した。その結果、GLサイエンス社製のInertSil ODS-Pを分離カラムとして採用し、移動相は0.1%ギ酸水溶液及び0.1%ギ酸アセトニトリルを用いることとした。
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