研究課題/領域番号 |
22K15279
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中尾 聡宏 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 特別研究員 (40898243)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 生殖科学 / 受精 / 精子 / 卵子 / 体外受精 / 受精能獲得 |
研究実績の概要 |
生殖科学は、人口爆発や少子高齢化の解決、女性の健康課題を解決するフェムテックの実現に重要である。近年、受精補助技術として、体外受精や顕微授精が利用されているが、成功率が不安定であり、解決が必要である。受精の成功率を決定する因子として、受精能獲得と呼ばれる精子の活性化がある。受精能獲得は、1951年に発見された現象であるが、未だ精子の受精能調節を担う受精能獲得トリガーの詳細は不明である。本研究では、マウスおよびラットに共通する受精能獲得トリガーを明らかにし、受精能獲得トリガーを標的とした新規不妊および避妊技術の開発を目指す。 本年度は、ジメチル-α-シクロデキストリンが、マウス精子の受精能獲得を誘起する新規化合物であることを明らかにした。また、ジメチル-α-シクロデキストリンは、受精能獲得のトリガーとして考えられているコレステロールの流出を介さずに、受精能獲得を誘起することも明らかにした。さらに、マウス精子と卵子を用いた検討により、体外受精において、精子の受精阻害が起きる条件を決定した。 今後、ジメチル-α-シクロデキストリンから得られた知見や、精子の受精阻害が起きる条件を元に、受精能獲得トリガーの同定および制御技術の検討を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の実験計画通りに研究を遂行し、各実験において新たな知見が得られているため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果から、おおむね予定した実験計画通りに研究が進展しているため、本年度も計画通りに実験を順次行う。具体的には、ジメチル-α-シクロデキストリンが相互作用するマウス精子の生体膜成分を同定し、受精能獲得トリガーの候補因子をリスト化、機能解析を行う。また、候補となった受精能獲得制御因子がラットにおいても共通かを確認する。
|