本研究では炎症性腸疾患(IBD)におけるP2X4受容体の役割を明らかにし、P2X4受容体がIBDの新規治療ターゲットとなりうるか検討する。また、消化管におけるP2X4受容体の機能解析を行い、腸上皮細胞におけるP2X4受容体の役割を明らかにする。 これまでに、デキストラン硫酸(DSS)による体重減少や炎症性サイトカインの産生など大腸炎症状が野生型マウスと比べてP2X4受容体欠損マウスで軽減することを見出しきた。本年度は腸内細菌の影響を考慮し、P2X4受容体ヘテロ欠損マウスから得られた同腹仔マウスを用いて腸炎モデルマウスを作成した。同腹仔マウスを用いた実験では、これまでに確認してきた腸炎の軽減が再現できなかった。さらに、正常マウスにおいて野生型とP2X4受容体欠損マウスで発現量に差が認められていた遺伝子も同腹仔マウスでは差がなくなっていた。このことから、これまでに見えていた現象はP2X4受容体欠損による腸内細菌叢の変化である可能性が示唆された。
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