研究課題/領域番号 |
22K15287
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
野中 さおり 安田女子大学, 薬学部, 講師 (40767787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ジンジバリス菌 / OMV / ジンジパイン / 血液脳関門 / ZO-1 / オクルディン |
研究実績の概要 |
2022年度までに、ジンジバリス菌が分泌するouter membrane vesicles(OMVs)による脳血管バリア破綻の仕組みについて、ヒト脳血管内皮細胞株(hCMEC/D3細胞)を用いた解析により、OMVを運び屋としてプロテアーゼのジンジパインが細胞内に侵入し、密着結合構成タンパク質のZO-1及びオクルディンを細胞の内側から分解することで、脳血管バリアの破綻が引き起こされることが明らかになった。 2023年度は、OMVがin vivoで脳血管バリアの破綻を引き起こすかどうかの検証を試みた。具体的には、まず、2.5か月齢のマウスに対して、タンパク質量150 ugのOMVを1日ごとに3回腹腔内投与した後、色素エバンスブルーを腹腔内投与した。その後、灌流固定した脳から血管から漏れ出した色素が検出されるかを調べたが、検出されなかった。 次に、3.5か月齢のマウスに対して、タンパク質量430 ugのOMVと色素エバンスブルーを静脈内投与し、1日後にPBSで灌流した脳を取り出してホモジネートをつくり、PBS投与群と比べて脳ホモジネートから検出される色素量が増えるかどうかを吸光度測定により調べたが、そちらでも色素量の増加は検出されなかった。このように、いまだin vivoでOMVに脳血管バリア破綻作用があることは証明できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
想定よりもin vivoでOMVが脳バリア破綻作用をもつことを示すのに時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、OMVの投与量や投与回数を増やす、より老齢のマウスを使用するなどして条件を整え、in vivoでもジンジバリス菌のOMVに脳血管バリア破綻作用があることを証明したい。また、その条件でのOMVの投与で、マウスにアルツハイマー病様病態(脳炎症、脳へのAβの蓄積、学習記憶障害)が出るかどうかも検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より、研究の進行が遅れているために次年度使用額が生じた。 2024年度は、これを、遅れているin vivo実験を遂行するために使用する。
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