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2022 年度 実施状況報告書

植物由来ナノ粒子を用いた神経炎症に対する新規治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K15304
研究機関高知大学

研究代表者

石田 智滉  高知大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (90792010)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードnanoparticle / 機能性食品 / BV2細胞 / Exosome / Atractylodes lancea / Allium tuberosum / 神経炎症
研究実績の概要

神経炎症は外科的侵襲や微生物への感染などが起因となり生じることが知られており、せん妄など一過性の認知機能障害やアルツハイマー病、うつ病、パーキンソン病などの慢性疾患に発展する。しかし、神経炎症を改善する治療方法は存在せず、開発が求められている。最近の研究で植物由来Exosome like nano-particle(以下ELNs)が、異種間の細胞コミュニケーションに関与し、細胞に対して薬理作用を発揮することが報告されている。ELNsの中には脳内に移行するものが存在することが知られており、神経炎症の治療に応用できる可能性がある。
そこで本研究では、神経炎症治療に応用できるELNsを見いだすことを目的として検討を実施している。本研究では先ず、薬用植物及び食品(果実や野菜)の中からELNsを抽出し、50種類のELNsライブラリーを作成した。
次に、当該ライブラリーのELNsについて、lipopolysaccharideで刺激したマウスミクログリア由来BV2細胞に対する神経炎症抑制作用を指標にしてスクリーニングを行った。その結果、Atractylodes lanceaの根茎(蒼朮)及びAllium tuberosum(ニラ)の地上部由来のELNsの作用により、LPS刺激BV2細胞の炎症性サイトカイン産生量が有意に低下することが分かった。また、蛍光色素(PKH26)で染色したELNsをBV-2細胞に反応させ、共焦点顕微鏡で観察したところ、蛍光シグナルが観察され、ELNsがBV-2細胞内に取り込まれたことが示唆された。
これらの成果については、2022年度の第61回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会、日本薬学会第143年会で発表しており、学術論文としても現在投稿中である(Journal of Pharmacy and Pharmacology)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度の成果として、50種類のELNsライブラリーを作成し、その中からAtractylodes lanceaの根茎(蒼朮)及びAllium tuberosum(ニラ)の地上部由来のELNsがBV-2細胞内に取り込まれ、LPS刺激時の炎症性サイトカイン産生量を低下させることを見いだした。申請時の計画では、2022-2023年度の2年間で薬用植物、食品(果実や野菜)からELNsを抽出してELNのライブラリーを作成し、その後、マウスミクログリア由来BV-2細胞を用いて、細胞内に到達し、抗炎症作用を発揮するELNsのスクリーニングを行う計画になっていた。そのため、概ね期待していた目標が達成できたと考えている。

今後の研究の推進方策

2023年度は当初の実験計画に従い、BV-2細胞を用いたスクリーニングにおいて選抜されたAtractylodes lanceaの根茎(蒼朮)及びAllium tuberosum(ニラ)の地上部由来のELNsの体内動態の評価を行う。ELNsを蛍光色素(PKH26)で染色し、マウス(ICR)に経口及び尾静脈投与し、その後、経時的にin vivo imaging system(IVIS)でELNsの動態を観察することで、ELNsの脳内及び全身への移行性を確認する。ELNsの中には、経口から投与した場合でも脳内に移行するものが報告されており、本研究を実臨床で使用する際の応用性を考慮して経口及び尾静脈投与の両方で検討する。

次年度使用額が生じた理由

本年度に、動物実験の予備的検討を行う予定であったが、コロナウイルスの蔓延により実施できなかったため、動物購入費が残金として発生した。当該実験は次年度に実施する予定であるため、次年度使用額としたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) 産業財産権 (3件)

  • [学会発表] 植物由来 Exosome like nanoparticles (ELNs) の医療への応用 ー蒼朮由来ELNsによる抗神経炎症作用の検討ー2022

    • 著者名/発表者名
      川田 敬, 石田 智滉, 常風 興平, 藤田 博子, 森沢 惇平, 川添 哲嗣, 吉岡 三郎, 宮村 充彦
    • 学会等名
      第61回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
  • [学会発表] 植物由来Exosome like nanoparticles (ELNs) の医療への応用 ーニラ (Allium tuberosum) 由来ELNsの抗神経炎症作用ー2022

    • 著者名/発表者名
      常風 興平, 川田 敬, 石田 智滉, 田村 尚久, 西田 基紀, 西村 さとみ, 藤田 博子, 川添 哲嗣, 吉岡 三郎, 宮村 充彦
    • 学会等名
      日本薬学会第143年会
  • [産業財産権] 神経変性疾患抑制剤2022

    • 発明者名
      宮村充彦、常風興平、石田智滉、川田敬
    • 権利者名
      宮村充彦、常風興平、石田智滉、川田敬
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2022-163020
  • [産業財産権] 薬物輸送担体2022

    • 発明者名
      宮村充彦、常風興平、石田智滉、川田敬
    • 権利者名
      宮村充彦、常風興平、石田智滉、川田敬
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2022-163039
  • [産業財産権] 神経変性疾患抑制剤2022

    • 発明者名
      宮村充彦、常風興平、石田智滉、川田敬
    • 権利者名
      宮村充彦、常風興平、石田智滉、川田敬
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2022-163069

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公開日: 2023-12-25  

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