研究課題/領域番号 |
22K15332
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中川 潤一 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (50880001)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 経口第Xa因子阻害薬 / 炎症性サイトカイン / 核内受容体 / 静脈血栓塞栓症 / がん |
研究実績の概要 |
C反応性蛋白質(CRP)濃度、インターロイキン(IL)-6、IL-1β、TNF-αなどの血漿中炎症性サイトカイン濃度及び核内受容体、薬物代謝酵素、薬物トランスポーターの遺伝子多型が、がん患者における経口第Xa因子阻害薬(エドキサバン、リバーロキサバン、アピキサバン)の薬物動態の個体間-個体内変動を説明する要因となり得るか検討を開始した。 これまでに計9名の経口第Xa因子阻害薬内服中のがん患者のトラフ血漿中濃度測定をLC-MS/MSを用いて測定した(エドキサバン及びリバーロキサバン:各1名、アピキサバン:7名)。 経口第Xa因子阻害薬のトラフ濃度はそれぞれエドキサバン:15.6 ng/mL、リバーロキサバン:146.3 ng/mL、アピキサバン(中央値):159.1 ng/mLであった。リバーロキサバンのトラフ濃度及びアピキサバンのトラフ濃度中央値は2020年改訂版不整脈薬物治療ガイドラインに記載のある心房細動の患者に通常用量を投与した際のトラフ血中濃度90%区間(on therapy range)の上限よりも高値を示した。 全ての対象者は血中薬物濃度測定時のC反応性蛋白質(CRP)値が1.0 mg/dL未満と全身性の炎症反応が乏しい患者であった。現時点では種々の炎症バイオマーカーと経口第Xa因子阻害薬の薬物動態との関連性を評価するのに適した患者の集積が進んでおらず、今後、引き続き対象患者の確保に努めていく。 統計解析を実施可能な程度の十分なサンプル数を確保でき次第、研究成果を国内の学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画立案当初に見込んだ目標症例数を確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、癌種、入院、外来の別を問わず、経口第Xa因子阻害薬が投与されている患者をリクルートし、PK-PGx解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は対象症例の集積が当初の計画より遅く、LC-MSMSによる血中濃度測定用の消耗品の使用もそれに伴い少なかった。 来年度は症例集積を加速させる予定のため、アセトニトリルをはじめとする血中濃度測定用の消耗品使用量は増加することが予想される。
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