S-1は本邦において胃癌に代表される消化器癌のキードラッグであるが、経口内服薬であるため静注薬剤に比べ用量調整が難しい。我々はこれまでに2つの臨床試験を通して年齢、性別、身長、体重、血中クレアチニン値から計算出来るS-1用量算出式(BBT formula)を構築し、本式の安全性の確認を行なった。また本式を過去の大規模ランダム化比較試験のデータ(SPIRITS試験、G-SOX試験、JCOG1001試験)に当てはめ有効性の確認も行なった。本式の臨床普及には推奨用量が簡便に算出される必要があるため、我々は科研費(22K15337)の助成により年齢、性別、身長、体重、血中クレアチニン値を入力することで瞬時に推奨用量が算出されるwebサイトの開発を行なった(https://skxvayxu50rjpoyayjg4og.on.drv.tw/calculationPage/)。 2023年1月からwebサイトが利用可能となったが、7ヶ月間で約700症例分の投与量が計算されており、利用価値は非常に高いと考えられる。またBBT式の安全性、有効性を前向きに検証する「HER2陰性切除不能・進行再発胃がんに対するBBT式に基づく最適用量のS-1を含むS-1+オキサリプラチン+ニボルマブ併用療法の安全性および有効性評価のための第 I/II 相試験」(jRCTs031230127)が開始されたが、本試験ではS-1投与量の計算にwebサイトを使用するようにプロトコールで規定されている。このように我々が科研費の助成を得た開発したwebサイトが着実に臨床応用されている。
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