研究課題
慢性骨髄性白血病(CML)はBcr-Abl阻害剤Imatinibの登場により治療成績が劇的に向上した。しかし、体内から白血病細胞が消失した患者においても休薬により60%の患者で再発をきたす。第二世代以降のBcr-Abl阻害剤の開発により再発率は低下しているものの、有効な治療法は確立しておらず、現状では一生涯の薬物治療を余儀なくされており、投与期間が非常に長期に及ぶ患者も多く存在している。そのため、副作用発症のリスクや経済的な観点から根治薬の開発が切望されている。CML完治の最大の障害はCML幹細胞の微小な残存であり、完治には幹細胞の根絶が必要不可欠とされている。本研究では、Bcr-Abl阻害剤への耐性メカニズムを探索し、CML幹細胞の根絶に有用な手法の探索を行った。研究代表者が注目している作用点であるALDHは薬剤以外にも食生活や生活習慣など発現を変動させる因子が存在する可能性がある。そこで、研究代表者は医療ビッグデータを用いて、CMLの治療効果に影響を及ぼす因子を探索し、生活習慣の1つに治療効果の関連を見出した。そこで、ALDHの発現に影響を与える生活習慣や併用薬が治療効果に与える影響について更なる探索を進めている。とくに近年では新規機序のアロステリックなBcr-Abl阻害剤であるAsciminibが承認された。Asciminibは従来のBcr-Abl阻害剤と作用機序が異なる事から、Asciminibを活用してBcr-Abl阻害剤の耐性メカニズムの解明を行った。候補となる有用な作用点を複数見出し、詳細な検討を進めている。また、ALDHは、従来のBcr-Abl阻害薬やAsciminibに対する耐性を獲得した細胞に対してもALDHの阻害は有効である可能性がある。そこで、従来のBcr-Abl阻害剤やAsciminibに耐性を獲得したCMLに対する効果についても検討を進めている。
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